古今東西 かしゆか商店【琺瑯の保存容器】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【琺瑯の保存容器】

『カーサ ブルータス』2020年7・8月合併号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回のお目当ては琺瑯のキッチン道具。栃木市内の工場で手づくりされる、“シンプル・清潔・頑丈”な保存容器です。

〈野田琺瑯〉は、鋼鉄の成形から釉薬がけまで琺瑯づくりの全工程を行うことができる国内唯一の家庭用琺瑯メーカー。「普段愛用している琺瑯が、職人さんによって手づくりされていることに驚きました」とかしゆか店主。
つるんと艶やかな白にシンプルな形。今回訪ねたのは、普段私も愛用している“ホーロー”の工場です。琺瑯と言うと鍋やヤカンの印象が強いかもしれませんが、私が気に入っているのは蓋つきの保存容器。保存食やつくり置き料理をする方も増えてきた、今の時代にぴったりの手仕事だと思います。
Buying No.28【 琺瑯の保存容器 】手づくりの”ホーロー”はシンプルを極めた美しさ。
栃木県に工場をもつ〈野田琺瑯〉は1934年(昭和9)創業。

「琺瑯は、専用の鋼板を加工した素地にガラス質の釉薬を焼き付けたもの。熱に強く頑丈で酸にも強い。雑菌が繁殖しにくいため、中の食材の味や風味を変化させないと言われています。紀元前14世紀につくられたツタンカーメン王の黄金のマスクにも、琺瑯の技術で装飾が施されているそうですよ」

と話す社長の野田靖智さんの案内で、さっそく琺瑯工場を見学。まずは鉄の素地と上釉薬を密着させるための下引き(下地塗り)です。ヤットコという道具で掴んだ鍋や容器を釉薬に浸し、空中でクルクル回転。遠心力で表面のムラを振り払います。身に着くまで10年はかかる難しい技だそうです。
ヤットコで掴んだ鍋を釉薬につけ、空中で振り払って表面のムラをなくす。
工場内を回るコンベアーに吊して焼成炉へ。
下地を施した製品は、工場内をぐるぐる巡るコンベアーに吊り下げられて、焼成炉へ運ばれます。850℃の炉はまるで灼熱のトンネル! この中を、吊した状態のまま移動させて、輻射熱で釉薬を焼き付ける。その後、上釉薬をかけて焼成する工程をもう一度繰り返すと、白くなめらかに輝く琺瑯の出来上がりです。

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