Google Design Studioが提案する、未来のテクノロジーのあり方。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

Google Design Studioが提案する、未来のテクノロジーのあり方。

現在、東京・六本木で『Google Design Studio | comma』が開催中です。検索エンジンからスタートしたGoogleが提案する “カタチのあるGoogle” とは、暮らしの中でどうあるべきなのか。ハードウェアデザインを統括するアイビー・ロスに話を聞きました。

会場にてGoogle Design Studioを率いるアイビー・ロス(右)と、本展を一緒につくりあげたトレンド・クリエイターのリドヴィッチ(リー)・エデルコート。ふたりは40年来の友人だ。会場ではエデルコートが厳選した日本ならではの美意識を感じさせる暮らしの日用品と、スタジオ・イナマットによる古布を使ったテキスタイル・アートがGoogleのハードウェアとともにコーディネイトされ、暮らしに溶け込んだテクノロジーのあるべき姿が提案されている。
―《Pixel 4》シリーズが発売されましたが、旧モデルから装いも新たにガラリと変わりましたね。

テクノロジーの進歩によって、デザインも進化しました。開発では、まず製品の機能をどう入れ込むか、ということから考え始めました。今回は指紋認証ではなく顔認証が採用されたので、非常にシンプルでクリーンな形になったと思います。背面に望遠レンズを含む2つのカメラレンズを搭載するために、それらを1か所にまとめましたが、そこにスクエアの枠を与えることでデザイン的な課題解決をすることができました。つまり、テクノロジーは増えましたが、デザインはよりシンプルでクリーンになったというわけです。
《Google Pixel 4》Oh So Orangeカラー(限定色)。オレンジの筐体に黒いフレーム、そこにピンクのボタンという小粋なカラーリングだ。64GB/89,980円、128GB/103,950円(すべて税込み)。
《Google Pixel 4》Just Blackカラー。黒いフレームに白いボタンが印象的だ。
《Google Pixel 4》Clearly Whiteカラー。こちらは黒いフレームにオレンジのボタン。
―《Pixel 4》シリーズではフレームの部分がすべて黒く、そこにあるボタンのカラーが背面とはすべて異なっていてポップなカラーリングになっているのが印象的です。

非常に象徴的です。こうやって通話している姿を横から見かけたら、ひと目で《Google Pixel 4》だとわかりますよね。フレームを大胆なカラーリングにすることで、人々が認識しやすい存在になったのではないかと思います。

―本体背面の色に関わらず、すべてのフレームを黒で統一したのはなぜでしょうか?

すべてのフレームを黒に統一することで無駄を最小化しているのです。黒は良い選択ではないかと思いますね。ボールド、大胆で力強くグラフィカルな印象を《Pixel 4》には持たせることができました。

私たちはサスティナビリティ(持続可能性)を重要視しています。デザインを考えるときには、いつも「いちばんサスティナブルな方法はどれなのか」ということを念頭に置いています。我々が生きている時代のもっとも大きな問題ですから、解決しなければいけないし、できなければ恥だと思うべきではないかと思います。Google Design Studioのデザイナーたちは、今かなり、この点に力を入れています。サスティナビリティと見た目の美しさは両立できると考えています。

たとえば、《Google Nest Mini》のファブリック。100%ペットボトルからリサイクルされた素材(使用済み再生プラスチック)を使っていて、だいたい500mlペットボトル1本で、《Google Nest Mini》2台を覆うのに十分なファブリックをまかなうことができます。色味や手触りなどを調整することはかなりの試行錯誤を要しました。通常、ファブリックというのは染めることができますが、使用済み再生プラスチックでは糸をつくる段階で色を決めなければいけないのです。でも、チームのデザイナーたちが最後まであきらめずにやり遂げてくれました。
11月22日より販売開始される、第2世代の《Google Nest Mini》。(左から)Chalk、Sky(新色)、Charcoal、Coralの4色が揃った。
イタリアのコモ湖をイメージした新色Skyは、さわやかなブルー。家の中で使用されることを想定し、ソファのように馴染む、手触りの良いファブリックをイメージして《Google Home Mini》は開発された。
壁面に引っ掛けることのできるように、背面には小さな穴が新たに追加された。「実は、当初は想定してなかったのですが、(第1世代の)《Google Nest Mini》をユーザーのみなさんが自前で工夫しながら壁にかけて使っているのを知って驚きました。だから、今回は小さな穴をつけたんです」(アイビー・ロス)。背面でもGoogleらしい、ポップなカラーリングが印象的だ。
―Googleはカーボンニュートラルの姿勢を明らかにしていますが、さらに、たとえば自社製品の積極的な回収など、環境負荷を少しでも減らすための施策は検討されていますか?

ええ、考えています。10数年前から、Googleはオフィスやデータセンターでのカーボンニュートラルを実践してきました。また、私たちは2022年までにすべてのハードウェアに使用済み再生プラスチックを使うことを宣言しています。Googleのような会社は、そういった道を切り開く立場にあると思います。デザインは問題を解決していくひとつの手法です。メーカーのみなさん、素材を開発する方々と一緒にコラボレーションしながら、エレクトロニクス業界全体の仕組みから変えていけたらいいですね。また、たとえ一緒にやっていくことはできなくても、そういったことを奨励する全体の雰囲気くらいは作っていかないといけないと思っています。

―共感します。各社が技術的にも似通ってくる中で「より環境負荷の少ないブランドのスマートフォンを選ぼう」という新しい考え方も、今後はユーザーの中で広がっていくかもしれませんね。

そうだといいですね。「Do the right thing.(人として正しい行いをする)」という言葉がありますね。サスティナビリティをなぜ行うのかというと、それはつまり正しいことで、やるべきことだからです。時によっては正しいことをやることがビジネスにつながるということもあると、私は思います。

―技術的に各社が似通ってくる中で、スマートフォンの形は、今後どうなっていくと思われますか?

社内では、将来を見据えて「アンビエントコンピューティング」という考え方をしています。要は流動的に、個別の端末などを意識せずに、自分の取り巻く環境全体をコンピュータのように操作できることで、テクノロジーは背景に隠れているべきではないか、という考え方です。スマホは何をするために必要なのか。ラップトップと何が違うのか……重複している機能もありますからね。そういった意味でも、今はとても興味深い時期で、いろんなことを再考するタイミングなのだと思います。サスティナビリティを考えた時に、何を残す必要があるのか、ないのか。全部は言えませんが、いろんなことを考えて議論しています。私がすごくいいなと思っているアイディアは、いろんな問題を一度に解決するというもの。たとえばサスティナビリティの課題と、本当に役に立つプロダクトを提供するということ、その他いろんな課題を同時にまとめて解決できたらいいなと思っています。

―ダイナミックな考え方ですね。

私は性格的に、大きな壁があるほど燃えるタイプなんです(笑)。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます