その関係は、同じ建物の別部屋へ移ると、もう少しフィジカルになる。スタッフが働く共用スペースでは、ひと回り大きな《Stanmore IV》にターンテーブルを接続した。針を落とした一枚は、吉村弘が1984年に資生堂のために制作した『A・I・R (Air In Resort)』。香りのプロモーション用に作られた非売品で、白い盤を透明なスリーブに収めた、日本の環境音楽を代表する一枚だ。ほかにも、20年以上前から好きだというZongamin、日本の80〜90年代の環境音楽を集めたコンピレーション、そしてRCサクセション。
「レコードを選ぶときは、ジャケットを誰が手がけているのか、パッケージがどういう仕様になっているのかも気になります。液体を封入した特殊盤みたいなものもあって、物として面白ければ手が伸びる」
リスニングバー〈STUDIO MULE〉との協業をはじめ、自身もいくつものジャケットをデザインしてきた。YOSHIROTTENにとってレコードは、音楽を記録した円盤であると同時に、手に取れるアートプロダクトでもある。
さらに「《Stanmore IV》から流れるアナログの音には、スマートフォンから聴いたときとは少し違う温かさがある」とYOSHIROTTEN。音を聴く前にジャケットを眺め、盤を取り出し、針を落とす。その少々遠回りな時間が〈マーシャル〉のホームスピーカーによってさらに良質な体験となっている。

















