吉田実香のNY通信|話題の〈グッチ ウースター ブックストア〉がカーサのために選んだ、ベスト7冊。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

吉田実香のNY通信|話題の〈グッチ ウースター ブックストア〉がカーサのために選んだ、ベスト7冊。

グッチがNYに書店をオープン! 〈グッチ ウースター ブックストア〉にズラリ並ぶ約2,000冊の中から、デヴィッド・ストレテルがカーサのために、7冊を厳選してくれました。

デヴィッド・ストレテルといえば、アートやファッション界で絶大な影響力をもつ写真集専門書店〈ダッシュウッド・ブックス〉の創設者にしてオーナーだ。〈グッチ ウースター ブックストア〉のブックセレクトを一任されたストレテル氏に話を伺った。

Q 〈グッチ ウースター ブックストア〉と〈ダッシュウッド〉、店の姿勢やセレクションなど、どんな違いがあるのでしょう?
 
基本的には同じだが、グッチの方は写真集に限定せず幅広くセレクトしている。実は〈ダッシュウッド〉そのものも、今その方向に傾きつつあるんだよ。

Q 雑誌やライフスタイル、建築の本なども置かれていますものね。そもそも今回のプロジェクトはどこから話が?

正直なところ、私がグッチの「レーダー」にどう引っかかったのかは、未だに謎なんだ。アリ・マルコポロスやライアン・マッギンレイ、グレン・ルックフォードなどグッチと深い関わりのあるアーティスト達と仕事をしてきたので、私の名前がどこかで挙がったんだろう。打診されてからの話は早かった。私の提案に対し非常にオープンで、対応も的確な上にスピーディで、スムーズに事が運んだね。

Q 中小規模書店が激減するマンハッタンにあって、〈ダッシュウッド〉は開業14年目を迎えた今も世界中からファンが訪れるディスティネーションです。その秘密は何だと思われますか?

書店経営を成功させるカギは、客に強いコミュニティ意識を抱かせる店作り。これだけは今も昔も変わらない。グッチ自身も、ブランドとしてその事をよく心得ているね。

Q 〈グッチ ウースター ブックストア〉から、カーサ読者のためのオススメ本をセレクトしてください。

1. ヴァルター・ファイファー『Drawings 1966-2018』

「〈ダッシュウッド〉を開いた頃からずっと敬愛してきた、スイス人写真家ヴァルター・ファイファー。ユルゲン・テラーやヴォルフガング・ティルマンスなど、1980年代以降のドイツ人写真家たちにずっと及ぼしてきた影響が見てとれるだろう? この『ドローイングス』は、ファイファーが個人的に、また雑誌の依頼で描いたドローイングをまとめた大作だ。長年に渡る彼の出版者にして協働者のパトリック・フレイが制作した。色鮮やかでバラエティに富み、独創性に溢れているこの本こそ、まさにグッチの書店にふさわしい! と感じたね」

2. クロード・ノリ 『イタリアの休日』

「フランス人写真家クロード・ノリの写真集はすべて絶版だ。私もこれまで中古本を集めるしか無かったんだが、一昨年、彼の名作『イタリアの休日』が新たに出版されたんだよ! イタリアの海辺、若者のロマンス。もうそれだけで充分だ」

3. Nick Sethi『Khichdi Kitchari』

「インドのアーバンライフを捉えた400ページ以上に及ぶ大作だ。〈ダッシュウッド〉から出版した。貧困の悲惨さにフォーカスしたものではなく、インドならではの西洋消費社会とのユニークで奥深い関わり方をつぶさに確かめられる。鮮やかな色彩、そして多文化的なイコノグラフィー(シンボルやイコン、図像の解釈)を扱う点でもグッチに通じるね」

4. Jamie Hawkesworth『Preston Bus Station』

「ダッシュウッドが出版した本で、今は絶版。わずかばかり〈グッチ・ウースター〉で販売している。内容は、グッチがもつ多様性をも反映する独特な美への、また地域コミュニティに対しての賛辞だよ」