落合陽一が「見せる」クラシック音楽って? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

落合陽一が「見せる」クラシック音楽って?

「音を触る」「音を見る」ってどんな感じだろう? 落合陽一と日本フィルハーモニー交響楽団とWOWが8月27日に行う「変態する音楽会」は新しいオーケストラの形を模索し、聴覚以外の感覚でも音を味わう試み。さていったいどんなものに?

4月に行われた『落合陽一×日本フィル Vol.1《耳で聴かない音楽会》』ステージの様子。Photo_Atsushi Yamaguchi
「SOUND HUG」などのデバイスを使う聴衆。Photo_Atsushi Yamaguchi
4月に行われた『落合陽一×日本フィル Vol.1《耳で聴かない音楽会》』ステージの様子。Photo_Atsushi Yamaguchi
「SOUND HUG」などのデバイスを使う聴衆。Photo_Atsushi Yamaguchi
メディアアートで注目を集め、「現代の魔法使い」とも呼ばれる落合陽一。1956年に創立されたクラシック音楽界の重鎮、日本フィルハーモニー交響楽団。ちょっと意外な組み合わせの2組が最初にコラボレーションしたのは今年4月、『落合陽一×日本フィル Vol.1《耳で聴かない音楽会》』だった。聴覚障害のある聴衆にさまざまなデバイスを配り、聴覚以外の感覚でも音楽を楽しめるようにしたのだ。たとえばボールのような「SOUND HUG」は音に合わせて振動したり、違う色で光るデバイス。抱きかかえることで音を触覚と視覚で味わえる。そのほかに髪の毛に装着する「Ontenna」やジャケット型のウェアラブルデバイス「ORCHETRA JACKET」など、さまざまなデバイスで聴衆の間のバリアを取り払った。

『落合陽一×日本フィル プロジェクト Vol.2』は「変態する音楽会」と題してビジュアルデザインスタジオ、WOWとコラボレーション、映像がオーケストラの奏者の一人に加わる。オーケストラの背景に、落合がオーケストラに映像を加えた“譜面”をもとにWOWが映像化したものが映し出される。ただし、あらかじめ用意された映像にあわせて演奏される、というわけではない。映像はあくまでも奏者の一人として、指揮者が振るタクトにあわせてリアルタイムで演奏される。楽曲のテンポが速くなれば速くなり、遅くなればあわせてスローダウンする。“もと”になる映像やプログラムはあるが、大半は指揮者の指揮にあわせて手動でタイミングが合わせられ、その上で生成されるのだ。音だけでなく映像もライブな、一期一会の体験になる。
『落合陽一×日本フィル プロジェクト Vol.2《変態する音楽会》』イメージCG。舞台奥の映像が指揮にあわせてリアルタイムで変化する。
落合はVol. 1、2と続くこの試みを「味噌汁のレシピのようなもの」という。

「味噌汁を作るには、味噌と具っていう基本の食材があるけど、味噌にも白味噌や八丁味噌とかいろいろな味噌があって、具もわかめ、じゃがいも、タマネギ……、と応用できる。オーケストラも個々の奏者によって音色や強弱は違う。オーケストラを味噌だとすると、今回はそこには手を加えずにオリジナルの演奏が届くようにして、そこにメディア装置を加えて、楽しみ方や感じ方を更新する。ほんとうは自由度の高いオーケストラという人間技による生楽器の演奏を、今できるテクノロジーと表現を使った別の人間の技によって、もっと広がりのあるものにしたいんです」



今回の試みは耳で聞く音楽に映像という視覚体験や触覚体験をプラスしたものだ。でも映像があると音も変わる、という。映像が奏者の一人として加わることでオーケストラ全体に変化が生まれるのだ。

パウル・クレーやカンディンスキーの絵の中には音楽からインスピレーションを得たものもある。

「彼らの時代にこんなテクノロジーがあれば喜んで使ったでしょうね。彼らが十代の頃ならまだチャイコフスキーも生きてたし、コラボレーションしたりして」



Vol. 2でもSOUND HUGやOntennaつきのチケットが販売されている。堅苦しいイメージがあるクラシック音楽をさまざまな感覚で楽しめるコンサートだ。

『落合陽一×日本フィル プロジェクトVol.2《変態する音楽会》』

〈東京オペラシティコンサートホール〉8月27日19時〜(開場18時)。指揮:海老原光 演出:落合陽一 ビジュアルデザイン:WOW