1980年代と2020年代──東京の写真が記憶を呼び起こす。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

1980年代と2020年代──東京の写真が記憶を呼び起こす。

新宿・渋谷など東京の街の1980年代と現在を対比した、善本喜一郎『東京タイムスリップ 1984⇔2021』が話題を呼んでいる。懐かしさと新しさが同居する写真集の一端を、山手線沿いに紹介しよう。

《渋谷文化村通り1984》当時の通称は「東急本店通り」。三和銀行とモービルのガソリンスタンドがあった。
《渋谷文化村通り2020》同じ道玄坂二丁目交差点から。2019年〈渋谷スクランブルスクエア東館〉が開業した(右)。
常にスクラップ&ビルドを続ける東京の街では、壊された建物が記憶から失われたかと思えば、新しい建築はどこかよそよそしい。そんな大都会の過去と現在を対比した『東京タイムスリップ1984⇔2021』は、記憶の断片を呼び覚ますと同時に、都市の風景の変遷という観点からじっくり読み込むこともできる写真集だ。

●渋谷・宮益坂下

《渋谷宮益坂下1984》関東初の私鉄ターミナルデパートとして1934年〈東横百貨店〉として創業、2013年に閉店した〈東急百貨店東横店東館〉と1970年増築、2020年閉店の〈東急百貨店東横店南館〉が見える。善本は森山大道と深瀬昌久の助言に従い、当時この坂の上で写真ギャラリーを開設していた。
《渋谷宮益坂下2021》2001年〈セルリアンタワー〉、19年〈渋谷スクランブルスクエア東棟〉が開業。20年には東京メトロ銀座線渋谷駅新駅舎の供用が開始された。

●渋谷・宮下公園

《渋谷・宮下公園1984》1966年に空中公園化された〈宮下公園〉。1976年に開店した〈丸井渋谷インテリア館〉は85年から〈丸井渋谷本館〉、98年から〈マルイシティ渋谷〉、2015年から〈渋谷モディ〉として営業中。
《渋谷・宮下公園2021》1992年西武渋谷店別館〈キッズファーム・パオ〉開業、現在は〈タワーレコード渋谷店〉に。取り壊された〈宮下公園〉に代わり2020年〈MIYASHITA PARK〉がリニューアルオープン。

●新橋・駅前SL広場

《新橋駅前SL広場1984》1966年、駅をはさんだ汐留口に〈新橋駅前ビル〉が開業、71年日比谷口に〈ニュー新橋ビル〉がオープン。翌72年、駅前広場が整備されC11形蒸気機関車が動態保存された。
《新橋駅前SL広場2021》旧国鉄汐留貨物駅跡地が2002年〈汐留シオサイト〉として区画整理され、翌03年の〈電通ビル〉から07年の〈汐留ビルディング〉まで、7棟の超高層ビルが竣工した。
「2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大で緊急事態宣言が発令され、自宅時間が増えたので、当時のフィルム整理を始めました。それを見ていたら、忘れていた光景に出会いました。面白い! 自分が撮ったことなど忘れて、すっかり見入ってしまいました」と、善本は写真集の「はじめに」で記している。

過去の写真をSNSに公開すると思わぬ反響があり、さらに現在の写真を同位置・同アングルで撮って掲載したところ、反響は世界まで及び、本書の刊行を後押しした。
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