MY favorite MV ミュージックビデオの話|ポセイドン・石川 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

MY favorite MV ミュージックビデオの話|ポセイドン・石川

カーサが注目するアーティストに最新の音楽から、クラシックな名曲、発掘系まで、古今東西のミュージックビデオを紹介してもらう連載。第3回にはポセイドン・石川が登場!

昨年末、山下達郎の歌唱法へオマージュを捧げ、DA PUMPの大ヒット曲『U.S.A.』をカバーし、瞬く間に150万動画再生回数を記録したポセイドン・石川。本人自らを”シティポップ芸人”と名乗っているが、ただのモノマネではない。本家の楽曲の肝であるドゥ・ワップ調のコーラスアレンジ、ハーモニーの多重録音などが、『USA』用に仕立てて反映されている。衣装を含め、徹底的に山下達郎を研究していることがよくわかる、愛と敬意に満ち溢れた素晴らしい出来栄えだ。この度、『POSEIDON TIME』でメジャーデビュー。X JAPAN『紅』やラッツ&スター『め組の人』などを、同様に山下達郎にオマージュを捧げる形でカバー。さらに、オリジナル楽曲も収録されている。まずは、あの『USA』の動画やMVをどう撮影したのだろうか。


__年末年始に『USA』の動画を見て、白眉の出来栄えで感動しました。動画はどのように撮影されているんですか?

スマートフォンにブレ防止のスタビライザーをつけ、なるべく自分で撮るようにしています。金沢の幼馴染やマネージャーに手伝ってもらうこともありますが、基本的に予算をかけずに撮るようにして。撮影した映像は、携帯のソフトで編集しますね。凝ったことはできないけど、手作り感は大事にしたいと思っています。
ポセイドン・石川『U.S.A.』(2018年)
__では、このような芸風誕生のキッカケを教えてください。

音楽仲間の友達の結婚式へ出席する際、元々バンドをやっているので、事前になにか歌うようリクエストがきたんです。いろいろ考えたんですが、結婚式の定番である安室奈美恵さんの『Can You Celebrate?』を歌おうと思ったんです。ただ、普通にやってもおもしろくないので、みんなが喜ぶように大好きな山下達郎さんのモノマネで歌おうと考え付きました。それが現在『USA』などのカバーの源流になっています。

__想像しただけでも、幸福感がハンパなさそうですね。これまでに影響を受けたMVは?

ブルーノ・マーズ『Uptown Funk』が好きで。住宅街にありそうな美容院だったり、アメリカの一般的なお店や街並みを、貸し切るわけでもなく撮っていて。カメラをくるっとまわしてるだけだったり、アナログ的な手法が多くて好きですね。大スターなのに、それほど予算はかかっていないんじゃないかと思います。MVはお金がかかっているのを感じると萎えるというか、僕はチープで手作り感のあるものの方がやっぱり好きなんです。エキストラも、一般人を使っているようなところなんかいいし。その後の大ヒット曲『24K Magic』では、超豪華ホテルにシャンデリアという世界観になりますが、それより『Uptown Funk』の方が好きです。
ブルーノ・マーズ『Uptown Funk』(2014年)
__この曲自体さまざまなジャンルのハイブリットで、ファンキーですね。

実はこの『Uptown Funk』を達郎さん風を作りかけたんですが、英語の発音が難しくてお蔵入りになったという思い出もあったり。

__それからマルーン 5『Sugar』からも影響を受けたとか。

先ほどもお話した山下達郎さんのオマージュで『Can You Celebrate?』を歌った友人の結婚式で、なにをやるか考えている時に参考にしましたね。

__もの凄く重要なMVじゃないですか?

そうなんです。『Sugar』は本当の結婚式で、完全にサプライズでマルーン 5が登場するんです。お客さんのリアクションがアメリカ人っぽくて、凄くオーバーなのもいい。まぁ、僕もやってみたいけど、誰も喜ばないかもしれませんけど(苦笑)。でも、発想やアイディアを含め、こういうやり方があるのか!? と本当に驚かさられましたね。
マルーン5『Sugar』(2015年)
__幸福感しか感じませんね。

そういう意味では、AKB48『恋するフォーチュンクッキー』のMVが大好きなんですよ。インディーズ時代にお世話になったプロデューサーの渡辺忠孝さんから、兄(筒美京平)が作った曲ということで「フォーチュンクッキー」教えていただいて。僕個人的にはAKBの楽曲の中で一番好きなんですが、MVがまた素晴らしいんですよね。大通りを封鎖して、メンバーがパレードのように練り歩く。それだけに、予算は凄くかかっていると思いますが、街の人たちがみんな協力的で、凄く嬉しそうに参加されています。本来の個人的なMVの好みはチープな方ですが、逆のこの曲の場合はいい感じになっていると思うんですよね。
AKB48『恋するフォーチュンクッキー』(2013年)