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Chill CARS|日産《パオ》|贅沢な設計で、レトロさをモダンデザインで再構築したクルマ。

『カーサ ブルータス』2024年11月号より

| Vehicle | Chill CARS | photo_Futoshi Osako   text_Izuru Endo   illustration_Daijiro Ohara

発売当時の最新モデルに1960年代的な意匠を施したレトロ風モデルは、90年代にブームを迎え、以降も数多く出現している。

日産 パオ
日産 パオ
しかしそのほとんどが、車体の前後を変更するのみで、内装も基本的にはベース車の設計をなぞる。

ところが1989年、初代《マーチ》をベースに〈日産〉が発売した《パオ》は、各部にリブが入れられたボディ、平面ガラスの窓、すべて円形の灯火類など、すべての外装に《パオ》専用のレトロ風デザインが与えられていた。元が《マーチ》だとはわからないほどだ。

外装に負けず、内装も独自のパーツが並ぶ。クラシックなクルマをイメージさせるボディ同色のダッシュボードや、真空管ラジオを連想させるオーディオも、オリジナルのデザインだった。

しかも《パオ》が優れていたのは、過去のクルマの模倣ではなく、発売当時のモダンデザインでレトロを再構築したことである。そのため、どこか懐かしい雰囲気を持ちつつも、単なる古いデザインの製品にはならなかった。

《パオ》は、バブル期ゆえの潤沢な予算が生んだクルマだ。売れ筋のジャンル以外に冒険的な車種の開発が難しくなった現代では、《パオ》ほど独自設計が多い少量生産車は生まれにくい。その贅沢さ、完成度が高いデザインが、現在もなお《パオ》が高い人気をキープしている理由に違いない。

《パオ》は確かにレトロに見える。しかし、今後もこのデザインが古くなることはないだろう。
面積の広いメッシュグリル、丸いヘッドライトはレトロだが、単なる古いクルマには見えない。
面積の広いメッシュグリル、丸いヘッドライトはレトロだが、単なる古いクルマには見えない。
ボディ同色のダッシュボードやオーディオはパオ専用設計。
ボディ同色のダッシュボードやオーディオはパオ専用設計。
麻生地のようなシート表皮は手触りが良い。ドアミラーのステーにもデザインが施されている。
麻生地のようなシート表皮は手触りが良い。ドアミラーのステーにもデザインが施されている。
テールゲートは上下に分割して開く。ヒンジ類はあえてむき出しにして、クラシックさを演出。
テールゲートは上下に分割して開く。ヒンジ類はあえてむき出しにして、クラシックさを演出。
面積の広いメッシュグリル、丸いヘッドライトはレトロだが、単なる古いクルマには見えない。
ボディ同色のダッシュボードやオーディオはパオ専用設計。
麻生地のようなシート表皮は手触りが良い。ドアミラーのステーにもデザインが施されている。
テールゲートは上下に分割して開く。ヒンジ類はあえてむき出しにして、クラシックさを演出。

country: Japan
year: 1989
seats: 5
size: L3,740×W1,570×H1,475mm
price: approx.1,300,000 yen

special thanks to BAKUYASU AUTO(TEL 043 307 7433)
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。

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