VEHICLE
Chill CARS|節度のあるデザインをまとう、クラシカルなセダン。
『カーサ ブルータス』2024年3月号より
February 8, 2024 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
工業製品であるクルマは、新型に切り替わるたび進化を遂げていく。1972年に初代が登場した〈BMW〉の高級セダン《5シリーズ》は、2023年デビューの現行型で8代目を数える。
その間に安全性能・環境性能・快適性は著しく向上した。一方で、車体は全長約30cm、全幅は約20cmも拡大されており、街中では少々持て余すほどの大きさになった。
デザインも大きく変わった。現行型は流麗でスポーツカーのようなフォルムだが、初代の面影を強く残す取材車の2代目では、水平に近いボンネットとトランク、角度の立ったピラーによって、いかにも3BOXセダンらしいサイドビューが構成されている。黒いサイドモール、窓、そしてバンパーも、水平基調で線が引かれている。フロントでは、4連の丸いヘッドライトと尖ったノーズが、クラシカルな印象だ。
節度を感じるのは、これらの要素において、奇を衒うデザインがされていないからだろう。街乗りでも苦のない適度なボディサイズだが、室内空間は十分。珠玉と称された直列6気筒エンジンからは、80年代のドイツ車らしい野太い排気音を響かせる。いずれも進化の名のもと、現代では失われてしまったものだ。
クルマには進化が必要である。しかし、時には立ち止まって、クルマには何が必要なのか、と立ち返ることも重要ではなかろうか。2代目《5シリーズ》を見ると、それを強く考えさせられる。
デザインも大きく変わった。現行型は流麗でスポーツカーのようなフォルムだが、初代の面影を強く残す取材車の2代目では、水平に近いボンネットとトランク、角度の立ったピラーによって、いかにも3BOXセダンらしいサイドビューが構成されている。黒いサイドモール、窓、そしてバンパーも、水平基調で線が引かれている。フロントでは、4連の丸いヘッドライトと尖ったノーズが、クラシカルな印象だ。
節度を感じるのは、これらの要素において、奇を衒うデザインがされていないからだろう。街乗りでも苦のない適度なボディサイズだが、室内空間は十分。珠玉と称された直列6気筒エンジンからは、80年代のドイツ車らしい野太い排気音を響かせる。いずれも進化の名のもと、現代では失われてしまったものだ。
クルマには進化が必要である。しかし、時には立ち止まって、クルマには何が必要なのか、と立ち返ることも重要ではなかろうか。2代目《5シリーズ》を見ると、それを強く考えさせられる。
country: Germany
year: 1981-87
seats: 5
size: L4,620×W1,700×H1,415mm
price: approx 2,000,000 yen
year: 1981-87
seats: 5
size: L4,620×W1,700×H1,415mm
price: approx 2,000,000 yen
special thanks to Kentaro Suzuki
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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