VEHICLE
Chill CARS|ミニバン市場を開拓した、画期的な先駆者。
『カーサ ブルータス』2023年7月号より
June 9, 2023 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
1990年代に台頭したミニバンは、乗用車の快適性とワンボックスワゴンの積載性を兼ね揃えたモデルとして人気を博した。
その先駆的なモデルは、80年代に日米欧それぞれで誕生した。日本では〈日産〉が82年に発売した《プレーリー》がそのひとつとされる。
初代《プレーリー》は4mほどの小さな車体に3列シートを備えていた。当時の3列シート車といえば、商用バンベースのワンボックスワゴンがメイン。ミニバンの概念すら存在せず、《プレーリー》はセダンの亜種という扱いだった。
88年登場の2代目は、初代のスライド式リアドアを引き継ぎつつ、ボクシーなスタイルから一転。ボンネットからルーフを一直線でつないだワンモーションフォルムを採用した。当時では極めて斬新な姿は、その後、ミニバンのベースフォルムとして定着した。内装では目の粗いざっくりとしたシート生地を使用。高級志向なワンボックスワゴンとの違いも明確だった。
このようにミニバンの基礎を確立した2代目《プレーリー》だが、残念ながら販売は伸びなかった。そこで95年にボンネットを四角くリデザイン。販売台数を増加させるも、元来の流麗なシルエットは失われてしまった。
画期的すぎて後世に価値を認められる、という製品はいくつかあるが、2代目《プレーリー》もその一台だ。このクルマには「ミニバンの原点」という輝かしい履歴がある。それこそがこのクルマの密かな誇りだ。
初代《プレーリー》は4mほどの小さな車体に3列シートを備えていた。当時の3列シート車といえば、商用バンベースのワンボックスワゴンがメイン。ミニバンの概念すら存在せず、《プレーリー》はセダンの亜種という扱いだった。
88年登場の2代目は、初代のスライド式リアドアを引き継ぎつつ、ボクシーなスタイルから一転。ボンネットからルーフを一直線でつないだワンモーションフォルムを採用した。当時では極めて斬新な姿は、その後、ミニバンのベースフォルムとして定着した。内装では目の粗いざっくりとしたシート生地を使用。高級志向なワンボックスワゴンとの違いも明確だった。
このようにミニバンの基礎を確立した2代目《プレーリー》だが、残念ながら販売は伸びなかった。そこで95年にボンネットを四角くリデザイン。販売台数を増加させるも、元来の流麗なシルエットは失われてしまった。
画期的すぎて後世に価値を認められる、という製品はいくつかあるが、2代目《プレーリー》もその一台だ。このクルマには「ミニバンの原点」という輝かしい履歴がある。それこそがこのクルマの密かな誇りだ。
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