FOOD
西海岸スタイルのダイニング〈ローカル〉|寺尾妙子のNEWSなレストラン
January 11, 2018 | Food | casabrutus.com | photo_Kayoko Aoki text_Taeko Terao editor_Rie Nishikawa
L.A.生まれのケイティ・コールがつくるのは野菜たっぷりのシンプルな料理と、居心地のいい空間だ。
世界の料理トレンドは大きく分けて、2つの方向に進んでいる。ひとつは少量多皿コースに最先端の技術を盛り込むスタイル。もうひとつは調理法も盛り付けもシンプルなナチュラル系だ。
ロサンゼルスで生まれ、サンフランシスコ郊外で育ったケイティ・コールによる、西海岸テイストのダイニング〈ローカル〉は、もとあったビストロ〈ビアード〉の内観、外観を生かしつつ、自分たちで表の壁を塗り替え、自ら手づくりした器を使うなど、以前よりフェミニンな雰囲気に仕上がっている。
サンフランシスコの高級店、カジュアルなイタリアンなどで経験を積んだケイティは、前菜からメインまで野菜をふんだんに使う。野菜は主に北海道や埼玉、高知などの農家から、おまかせで届く「その日、畑で採れた野菜」。ふたを開けるまで、何が入っているかわからないため、メニューはその都度、考える。
ただ、「料理をする前に、農家さんが何か月もかけて野菜をおいしく育ててくれているから」あまり手をかける必要はないし、品質がいいから野菜は基本的には皮付き、葉っぱも含め、丸ごと使う。
《ロースト ラディッシュ、ナス、カシューナッツソース》を口にすれば、皮の苦味やアク、身のジューシーさや自然な甘みを併せもつ、野菜の複雑な風味に気づかされる。
ただ、「料理をする前に、農家さんが何か月もかけて野菜をおいしく育ててくれているから」あまり手をかける必要はないし、品質がいいから野菜は基本的には皮付き、葉っぱも含め、丸ごと使う。
《ロースト ラディッシュ、ナス、カシューナッツソース》を口にすれば、皮の苦味やアク、身のジューシーさや自然な甘みを併せもつ、野菜の複雑な風味に気づかされる。
焦がしバターとケイパーで風味をつけた鰆には、青々とした春菊を生のまま添えて。自家製米粉をまぶして焼いた皮目がバリッと香ばしい一品に、ソースはなし。
どの料理にも家庭料理的な雰囲気があり、気負いがないので、こちらも気楽に味わえる。土をまぶしたり、アリなどの昆虫をサラダにトッピングしたり、行き着くところまで行き着こうとしているガストロノミーな店を食べ歩いていると、むしろ、こんな料理が新鮮に映る。
どの料理にも家庭料理的な雰囲気があり、気負いがないので、こちらも気楽に味わえる。土をまぶしたり、アリなどの昆虫をサラダにトッピングしたり、行き着くところまで行き着こうとしているガストロノミーな店を食べ歩いていると、むしろ、こんな料理が新鮮に映る。
サービスもほどよく肩の力が抜けていてよい。先日、週末のブランチで訪れたとき、カフェオレを頼んだら、「はい」と言ってサービスの明日香さんが外へ出て行く。気になって後をつけたら、角を曲がったところにあるコーヒースタンド〈スイッチ コーヒー トーキョー〉につくってもらっていた。店内で出すコーヒーは同店の豆で淹れているが、ラテやカプチーノは外注しているらしい。ちなみに生ビールは店の2階事務所に置いてあるサーバーで注ぐことになっていて、なんだかとっても自由。
そんな気楽さもあってか、早くも街にも馴染み、常連さんができているよう。ケイティはずっとここでお店をやるの?
「3年間はやるつもり。でも、その後はわからない。明日のメニューさえ、決まってないのに、そんな先のことはわからない」
笑って話すケイティはあくまで飄々として、自然体。ナチュラルな料理は、そんな人柄から生まれてくるようだ。
「3年間はやるつもり。でも、その後はわからない。明日のメニューさえ、決まってないのに、そんな先のことはわからない」
笑って話すケイティはあくまで飄々として、自然体。ナチュラルな料理は、そんな人柄から生まれてくるようだ。
〈LOCALE(ローカル)〉
東京都目黒区目黒1-17-22 TEL 03 6874 6719。17時〜23時(土・日曜9時30分〜13時30分LO、18時〜23時)。月・火曜休。ディナーコースは日によって5,000円または6,000円。週末のブランチはアラカルト2,500円前後。ワインはグラス950円〜、ボトル4,900円〜(以上、税込)。illustration Yoshifumi Takeda
寺尾妙子
てらお たえこ 食ライターとして雑誌やWEBで執筆。好きな食材はごはん、じゃがいも、トリュフ。現在、趣味の茶の湯に邁進中。