FOOD
小寺慶子のレストラン予報|神楽坂〈一宇〉
『カーサ ブルータス』2022年5月号より
May 2, 2022 | Food | RESTAURANT FORECAST | photo_Kayoko Aoki text_Keiko Kodera
”坂裏”の路地で鮨職人の技が輝きを放つでしょう。
“鮨は好み” ではあるけれど、実直な仕事を貫く魅力的な職人がいる店は、やはり多くの人の心を掴むものだ。
良店ひしめく神楽坂は、いま東京で最も勢いのある街のひとつ。2月に “坂裏” の路地にオープンした〈一宇〉は、鮨好きのあいだで早くも、刮目すべき一軒として話題を集めている。
店主の濱野紘一さんは〈小十〉や〈菊乃井〉など名だたる日本料理店で修業を積み、熊本の〈鮨 仙八〉で7年働いたのちに独立。物腰は柔らかいが、一本筋の通った人柄は一品料理が5品前後、握りが13貫登場するコースにも見て取れる。まずは檜がふわりと香る食前酒で乾杯。そのあとに続く季節の料理は、旨みをベースに酸味や苦みなどを丁寧に重ねた逸品揃いで、椀物、茶碗蒸しの出汁の深い味わいに口福のため息が漏れる。赤酢2種に梅酢をブレンドしたシャリを使う握りは江戸前の仕事を施した魚の風味がより引き立ち、最後は遊び心をしのばせたデザートも。華美ではないが、食べ手の心を穿つ鮨店に未知の可能性を感じる。
良店ひしめく神楽坂は、いま東京で最も勢いのある街のひとつ。2月に “坂裏” の路地にオープンした〈一宇〉は、鮨好きのあいだで早くも、刮目すべき一軒として話題を集めている。
店主の濱野紘一さんは〈小十〉や〈菊乃井〉など名だたる日本料理店で修業を積み、熊本の〈鮨 仙八〉で7年働いたのちに独立。物腰は柔らかいが、一本筋の通った人柄は一品料理が5品前後、握りが13貫登場するコースにも見て取れる。まずは檜がふわりと香る食前酒で乾杯。そのあとに続く季節の料理は、旨みをベースに酸味や苦みなどを丁寧に重ねた逸品揃いで、椀物、茶碗蒸しの出汁の深い味わいに口福のため息が漏れる。赤酢2種に梅酢をブレンドしたシャリを使う握りは江戸前の仕事を施した魚の風味がより引き立ち、最後は遊び心をしのばせたデザートも。華美ではないが、食べ手の心を穿つ鮨店に未知の可能性を感じる。
[予算]1人22,000円~
19,800円のおまかせコース1種のみ。日本酒はメニューにないものも多数。1,000円~(1合)。
[予約]ぜひ、猛急に!
基本的にはワンオペ営業で現状もすでに予約が取りづらいが、今後はますます人気が高まりそう。
[ドレスコード]カジュアルシック
神楽坂らしいしっとりとした大人のコーデと振る舞いを。“香りもの” は避けるのがマナー。
小寺慶子
こでらけいこ 肉を糧に生きる肉食系ライターとして雑誌やWebに執筆。趣味はひとり焼肉と食べ物回文を考えること。「よーく、たい焼き焼いた。食うよ!」(甘味好き)