FOOD
小寺慶子のレストラン予報|本郷三丁目〈canade〉
『カーサ ブルータス』2021年3月号より
February 19, 2021 | Food | RESTAURANT FORECAST | photo_Kayoko Aoki text_Keiko Kodera
イタリアン激戦区の新店に人気が全集中するでしょう。
イタリアン好きのあいだでは “猛者揃い” で知られるエリア。シチリアにエミリア=ロマーニャなど、郷土色を打ち出した店も多いが、昨年12月にオープンした〈canade〉によって、この街のイタリアン成熟度はますます高まりそうだ。
〈アロマフレスカ〉の原田慎次シェフのもとで働いた後に渡伊。トスカーナやピエモンテで修業を積んだ池田光寿さんとソムリエの美穂さん夫婦が営む店は、真っ当で温かみのあるイタリア料理店の見本のような雰囲気ながら、料理には食べ手の心を瞬時に掴むインパクトがある。
手打ちパスタのシンプルな美味しさにも胸を打たれるが、ピエモンテの店でその奥深さに感銘を受けたというリゾットは、食感も風味も衝撃のひと言。チーズもバターも使わずに牛乳で炊かれた米は優しい甘みをたっぷり含み、牛や豚肉の旨みが凝縮した出汁とともに食べると色気のある風味に圧倒される。シェフの故郷である静岡の桜の葉でローストした仔羊など、さりげなさとしなやかさが持ち味の料理を求めて何度でも足を運びたくなる。
〈アロマフレスカ〉の原田慎次シェフのもとで働いた後に渡伊。トスカーナやピエモンテで修業を積んだ池田光寿さんとソムリエの美穂さん夫婦が営む店は、真っ当で温かみのあるイタリア料理店の見本のような雰囲気ながら、料理には食べ手の心を瞬時に掴むインパクトがある。
手打ちパスタのシンプルな美味しさにも胸を打たれるが、ピエモンテの店でその奥深さに感銘を受けたというリゾットは、食感も風味も衝撃のひと言。チーズもバターも使わずに牛乳で炊かれた米は優しい甘みをたっぷり含み、牛や豚肉の旨みが凝縮した出汁とともに食べると色気のある風味に圧倒される。シェフの故郷である静岡の桜の葉でローストした仔羊など、さりげなさとしなやかさが持ち味の料理を求めて何度でも足を運びたくなる。
小寺慶子
こでらけいこ 肉を糧に生きる肉食系ライター。最近の趣味は、酒場の短冊メニューを眺めながら食べもの回文を考えること。「夜にイカと貝、煮るよ」(駄作)。