DESIGN
追悼・柚木沙弥郎|生涯を通して創作を追求、 “今” を生き続けた染色家。
『カーサ ブルータス』2024年4月号より
March 17, 2024 | Design | a wall newspaper | photo_Norio Kidera text_Chizuru Atsuta
瑞々しく、生命力に溢れた作品で多くの人を魅了した、染色家・柚木沙弥郎。人生を捧げた創作の日々を振り返る。
今年1月、染色家の柚木沙弥郎が逝去した。享年101歳。創作に生涯を捧げ、亡くなるその日まで現役を貫いた人生だった。伝統的な型染を継承しながら、モチーフや色使いは大胆にしてモダン、自由な発想で型染の世界に新風を吹き込んだ。「柚木レッド」と言われる独特の赤や藍色を使った色使い、ユーモアに溢れたモチーフはどれも力強く、瑞々しく、生命力に溢れていた。
20代前半に民藝運動の提唱者である柳宗悦と出会い、それを機に、後に人間国宝となる染色工芸家の芹沢銈介に師事。独立後は、染色家として活動を始め、以来、80年近くにわたり型染の第一人者として活躍した。晩年には、染色以外に版画や絵本、立体、切り絵など、さまざまな分野で広く制作を手がけ、自ら芸術表現を切り開いていく。これまで国内外で数多くの展覧会を開催していたが、驚くべきは年を重ねるごとに仕事の幅を広げていったことだろう。
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