DESIGN
ロナン&エルワン・ブルレックと〈アルテック〉〈イッタラ〉|小西亜希子の北欧デザイン通信
October 19, 2020 | Design | casabrutus.com | text_Akiko Konishi editor_Keiko Kusano
新連載の「北欧デザイン通信」は、北欧インテリアとデザインの仕事に長年携わり、その見識を深めてきた小西亜希子が、いま気になる北欧デザインの現場や人、暮らし、新作情報から過去のデザインアーカイブまで、幅広くご紹介していくシリーズです。第1回目は、北欧を代表する2大ブランド〈アルテック〉、〈イッタラ〉とフランス人デザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックとのコラボレーションに焦点をあて、新作情報とその製作秘話をお伝えします。
常にその動向が注目され、オファーの絶えない超人気デザインデュオ、ロナン&エルワン・ブルレック。兄のロナンは1971年、弟のエルワンは1976年、ともにフランスのカンペール市に生まれる。1999年からパリを拠点にデザインスタジオを開設。以降、共同でデザインを手がけている。空間、建築プロジェクトから家具、プロダクトデザインまで幅広く担当し、名だたるデザイン賞を数多く受賞。今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
世界で活躍する彼らだが、北欧デザイン界においてもその存在感はひときわ強く、2000年代初頭から〈クヴァドラ〉、〈HAY〉、〈イッタラ〉、〈アルテック〉など、デンマークやフィンランドを代表する企業から続々と新作を発表。それらは見事に上記ブランドの代表作に加わっている。革新を引き起こしながらも、不思議なほどそのブランドに馴染み、あたかも昔からあったかのような安堵感を漂わせている。企業のアイデンティティを的確に捉え、新たな解釈に成功している証と言えるだろう。また、彼らを起用することで、作品にとどまらず企業そのものの洗練すら印象づけてしまう稀有なデザインデュオだ。
世界で活躍する彼らだが、北欧デザイン界においてもその存在感はひときわ強く、2000年代初頭から〈クヴァドラ〉、〈HAY〉、〈イッタラ〉、〈アルテック〉など、デンマークやフィンランドを代表する企業から続々と新作を発表。それらは見事に上記ブランドの代表作に加わっている。革新を引き起こしながらも、不思議なほどそのブランドに馴染み、あたかも昔からあったかのような安堵感を漂わせている。企業のアイデンティティを的確に捉え、新たな解釈に成功している証と言えるだろう。また、彼らを起用することで、作品にとどまらず企業そのものの洗練すら印象づけてしまう稀有なデザインデュオだ。
●アルテックから登場した新作《ロープ チェア》
彼らの最新作は、アルテックから発売される《ロープ チェア》だ。それは同社のコンセプトである「アート&テクノロジー」を体現する新たな試みだ。アルヴァ・アアルト の《スツール 60》などフィンランド産の木材製品で知られるアルテックにとって、木材、スチール、ロープの3つの素材で構成されたこの椅子は同社のコレクションにおいて画期的な展開となっている。
このプロジェクトは、2年以上前に〈アルテック〉社長のマリアンネ・ゴーブルがパリにあるブルレック兄弟のスタジオを訪れたときの会話からはじまったという。ロープ素材を軸とした椅子のアイデアを、彼らはいつものように、すぐに手描きのスケッチで具現化してみせたそうだ。
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illustration Yoshifumi Takeda
小西亜希子
こにし あきこ 1990年代後半からミッドセンチュリー、北欧デザインを専門としたインテリア業界にて活動。MD、商品開発、PR、企画、VMDから、ブランドディレクションまでこなす。著書に『カイ・フランクへの旅』(グラフィック社)。
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