CULTURE
ルイス・バラガンの名言「…にのみ、人は自分自身を見いだすことができます。」【本と名言365】
May 6, 2024 | Culture, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。喧騒の街の中でも一際目立つ色と光のエネルギーに溢れたルイス・バラガンの建築。彼の作品には人を穏やかな気持ちにさせる不思議な力があります。彼が建築を通して目指したのは何だったのでしょうか。プリツカー賞受賞講演で述べたバラガンの言葉から紐解きます。
孤独とともにあるときにのみ、人は自分自身を見いだすことができます。
水面や光を大胆に取り込み、ビビッドな色調で構成された建築物を生み出したルイス・バラガン。世界を旅しながら知識を広げ、独学で建築を学んだ彼は「メキシコの太陽の元で、メキシコの空気の中でしか美しさを発揮しない」という考えを貫き、生まれ育ったメキシコでのみ制作活動を続けた。
メキシコらしい色彩という土着的な要素と、直線や平面を効果的に扱うモノリシックなモダニズム建築の要素を見事に融合。その功績を「詩的想像力による崇高な行為としての建築に献身した」と評され、メキシコ人で初めてプリツカー賞に輝いた。受賞講演でバラガンは、「美しさ、インスピレーション、美、魔法、魔力、魅力といった言葉、さらには平穏や沈黙、親密、驚きというような発想が私を導く灯り」であったと述べ、「宗教と神話」、「美」「平穏」「死」といったトピックを挙げながらで自身の思考を語っている。
その中に印象的なフレーズがある。「孤独とともにあるときにのみ、人は自分自身を見いだすことができます。孤独とはよき友のことです。私の建築は、孤独を恐れたり、これを避けたりする人々のためのものではありません」
自分は何を思い、どう感じるのか。表現者であるバラガンは自分自身を知ることがクリエイティブに欠かせないと気づき、建物に静寂を取り込んで孤独に浸れる空間を用意した。1948年に建てた自邸のダイニングには「soledad(孤独)」と書かれた皿が飾られている。そこには時が止まったような穏やかな空気が流れている。バラガンの建築に心惹かれるのは、足を踏み入れた瞬間内なる静寂が訪れ、苦悩や恐れから解き放たれて自分の本心に耳を傾けることができるからだろう。
水面や光を大胆に取り込み、ビビッドな色調で構成された建築物を生み出したルイス・バラガン。世界を旅しながら知識を広げ、独学で建築を学んだ彼は「メキシコの太陽の元で、メキシコの空気の中でしか美しさを発揮しない」という考えを貫き、生まれ育ったメキシコでのみ制作活動を続けた。
メキシコらしい色彩という土着的な要素と、直線や平面を効果的に扱うモノリシックなモダニズム建築の要素を見事に融合。その功績を「詩的想像力による崇高な行為としての建築に献身した」と評され、メキシコ人で初めてプリツカー賞に輝いた。受賞講演でバラガンは、「美しさ、インスピレーション、美、魔法、魔力、魅力といった言葉、さらには平穏や沈黙、親密、驚きというような発想が私を導く灯り」であったと述べ、「宗教と神話」、「美」「平穏」「死」といったトピックを挙げながらで自身の思考を語っている。
その中に印象的なフレーズがある。「孤独とともにあるときにのみ、人は自分自身を見いだすことができます。孤独とはよき友のことです。私の建築は、孤独を恐れたり、これを避けたりする人々のためのものではありません」
自分は何を思い、どう感じるのか。表現者であるバラガンは自分自身を知ることがクリエイティブに欠かせないと気づき、建物に静寂を取り込んで孤独に浸れる空間を用意した。1948年に建てた自邸のダイニングには「soledad(孤独)」と書かれた皿が飾られている。そこには時が止まったような穏やかな空気が流れている。バラガンの建築に心惹かれるのは、足を踏み入れた瞬間内なる静寂が訪れ、苦悩や恐れから解き放たれて自分の本心に耳を傾けることができるからだろう。
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