ART
失恋体験の痛みと治癒を作品化! 伝説のソフィ・カル展覧会が蘇りました。
January 23, 2019 | Art | casabrutus.com | text_Kaori Nakada
1999年に〈原美術館〉で開催されたフランスの女性現代美術作家、ソフィ・カルの個展『限局性激痛』。閉館2020年12月末に控えた〈原美術館〉で、伝説の展覧会が蘇った。
自身の体験を作品に投影するアーティストは数多くいるが、自らの失恋体験をさらけ出したのがフランスの現代美術作家ソフィ・カル。1999年から〈原美術館〉で開催された個展『ソフィ カル 限局性激痛』は、彼女自身のリアルな恋愛体験を作品にしたものだった。現在、20年の時を経て〈原美術館〉で観ることができる。
展示は二部で構成されている。破局へと向かう日々を手紙や写真などを通して展示する第一部から、失恋の悲しみを他人に語り、代わりに相手の体験も聞くことで心の傷が癒されていく過程を文章と写真とともに綴った第二部へと続く。中でも第二部は、作品の横に小さなクレジットを付け、作品を紹介する通常の展示方法ではなく、写真の下にカルの思いが生地に刺繍してある。生地はベルギーから取り寄せた麻布を使用し、新潟の刺繍工房で日本語で刺繍された。
キャリアの初期から、見知らぬ人を自宅へ招き自分のベッドで眠る様子を作品化した『眠る人々』(1979年)、ホテルのメイドとして働きながら宿泊客の部屋の様子を撮影した『ホテル』(1981年)を発表するなど、ユニークな表現手法で注目されてきたカルは、その生き方に感銘を受けた作家のポール・オースターが小説『リヴァイアサン』の登場人物、マリア・ターナーのモデルにしたこともある。2月1日には作家が来日し、〈原美術館〉でアーティスト・トークを開催するほか、〈ギャラリー小柳〉(2月2日〜3月5日)、〈ペロタン東京〉(2月2日〜3月11日)でも個展を開催する。
2020年に閉館を発表している〈原美術館〉で、日本の美術館における初個展から20年の時を経てなお変わらない、カルの失恋の痛みと治癒を疑似追体験してみたい。
2020年に閉館を発表している〈原美術館〉で、日本の美術館における初個展から20年の時を経てなお変わらない、カルの失恋の痛みと治癒を疑似追体験してみたい。
〈原美術館〉東京都品川区北品川4-7-25 TEL03 3445 0651。~3月28日。11時~17時、水曜~20時(入館は閉館30分前まで)。月曜休館(祝日の場合は開館し、翌日休館、2月12日休館)。入館料1,100円