ART
アニッシュ・カプーアの最新作が世界初公開!
October 18, 2017 | Art | casabrutus.com | text_ Naoko Aono
東京・表参道の〈GYRE〉でアニッシュ・カプーアの個展『コンセプト・オブ・ハピネス -アニッシュ・カプーアの崩壊概論-』が開催される。
「野蛮」と「文明」は対立する意義だと考えられている。科学技術が発達し、社会制度や政治体制が洗練されていくほど、人類は野蛮から遠ざかり、文明化されていく。しかし実際には文明化がもっとも進んだと思われる今日でも野蛮さは形を変え、その強度を弱めようとはしない。この二つの概念は対立構造にあるのではなく、より近いところにあるものなのではないだろうか。
表参道の〈GYRE〉で個展を開くアニッシュ・カプーアはその立場から、さまざまな技術と知性を駆使して作品を制作している。テート・モダンのタービンホールに設置した世界最大と目される彫刻作品で注目を集め、近年ではヴェルサイユ宮殿の庭園に展示した巨大なオブジェが性的なものを暗示するとして非難された。日本でも金沢21世紀美術館に「世界の起源」という意味の、クールベの絵画を参照した作品が常設展示されている。9月に東京ミッドタウンで展開された、磯崎新とのコラボレーションによる空気で膨らむ巨大なコンサートホール〈ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ〉も記憶に新しい。
表参道の〈GYRE〉で個展を開くアニッシュ・カプーアはその立場から、さまざまな技術と知性を駆使して作品を制作している。テート・モダンのタービンホールに設置した世界最大と目される彫刻作品で注目を集め、近年ではヴェルサイユ宮殿の庭園に展示した巨大なオブジェが性的なものを暗示するとして非難された。日本でも金沢21世紀美術館に「世界の起源」という意味の、クールベの絵画を参照した作品が常設展示されている。9月に東京ミッドタウンで展開された、磯崎新とのコラボレーションによる空気で膨らむ巨大なコンサートホール〈ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ〉も記憶に新しい。
今回出品されるのは燃えさかる火がそのまま画面に定着したようなペインティングと、鉱物のようでもあり、有機物の一部でもあるような立体だ。これまでカプーアが発表してきた、つややかに磨かれた鏡面のような作品とは異種のものになる。しかしこれらの作品も、異なる形で生や破壊、文明と地続きである野蛮を象徴しているのだ。
出品作はすべて、世界で初めて展示されるものになる。世界中から注目される彼が今、この状況をどう見ているのかが垣間見える。
出品作はすべて、世界で初めて展示されるものになる。世界中から注目される彼が今、この状況をどう見ているのかが垣間見える。
『コンセプト・オブ・ハピネス -アニッシュ・カプーアの崩壊概論-』
〈EYE OF GYRE/GYRE〉