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「ロエベ財団 クラフトプライズ 2022」大賞、特別賞の受賞者を発表!
『カーサ ブルータス』2022年9月号より
August 6, 2022 | Art, Design, Fashion | PR | text_Akane Maekawa
現代のクラフトに新たな才能を発掘する「ロエベ財団 クラフトプライズ」。第5回を迎えた2022年は、3年ぶりに会場での展示が開催され、大賞をはじめ、30名のファイナリストの作品が一堂に会した。
マドリードに設立したクラフト工房からスタートしたスペインのラグジュアリーブランド〈ロエベ〉。「クラフトはまさに〈ロエベ〉の神髄」。そう語るクリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンが、その原点に着想を得て、2016年に設立したのが「ロエベ財団 クラフトプライズ」だ。これまでに、陶磁器、木工、テキスタイルなど、多岐にわたる現代のクラフトに焦点をあて、新しい才能を発掘してきた。前回は、コロナ禍によりオンラインでの発表となったが、5回目を迎えた今年はソウルにて開催。会場となったのは、昨年7月に開館した韓国初となる公立の工芸専門博物館であるソウル工芸博物館。116の国と地域からなる3100点を超える応募の中から、ファイナリストとして30名が選出された。日本からは、竹芸家の四代田辺竹雲斎と漆芸作家の小梛真弓が選ばれている。
大賞を受賞したのは、韓国出身のダヘー・ジョンによる『A Time of Sincerity』。彼女は、李朝時代の馬の毛を使った伝統的な帽子作りの技法を用い、立体作品を作り続けているアーティストだ。クラフトプライズの目的のひとつである、伝統の復活と更新に向けられた彼女の姿勢と、緻密かつ完成度の高い繊細な作品が評価され、今回の受賞となった。
「大賞の受賞は、人生で最も忘れられない瞬間となりました。私の作品は、馬毛の技術を発展させた朝鮮王朝の先人たちに敬意を表したものです。この受賞は、私の作品だけでなく、韓国の馬毛工芸にも光を与えてくれました」と、ダヘー・ジョンは受賞に際しコメントを寄せている。
不思議な透明感を持つバスケットのような立体作品は、木型を作ることからはじまる。木型を包み込むように馬毛を編み上げ、熱を加え成型する。現代で失われつつあるこの技術に新たな息吹を吹き込んだ彼女の作品には、タイトルが語る通り、かの時代から紡がれてきた悠久の時が刻まれ、静けさが漂う。
特別賞には、南アフリカのアンディル・ディヤルヴァーヌによる『コーニッシュ・ウォール』と、ドイツのユリア・オベマイアの『フェボーゲン』が受賞。ディヤルヴァーヌの作品は、盆栽箒などで模様を描いた大胆なコイル状の赤土の陶器で、アフリカ南部のコーサ文化とイギリスのコーンウォール地方の影響を色濃く映す。一方、オベマイアは、宝石に使われるロッククリスタルを構造物とした立体作品を作り、宝石の価値を再定義した点が評価された。
伝統工芸に新たな価値を創造する作品に光をあてる「ロエベ財団 クラフトプライズ」。そのユニークな試みは、伝統と革新という真の意味を、毎回、私たちに問いかけているようだ。
「CRAFT PRIZE」伝統的な技法や素材を、新しい表現へと昇華
大賞を受賞したのは、韓国出身のダヘー・ジョンによる『A Time of Sincerity』。彼女は、李朝時代の馬の毛を使った伝統的な帽子作りの技法を用い、立体作品を作り続けているアーティストだ。クラフトプライズの目的のひとつである、伝統の復活と更新に向けられた彼女の姿勢と、緻密かつ完成度の高い繊細な作品が評価され、今回の受賞となった。
「大賞の受賞は、人生で最も忘れられない瞬間となりました。私の作品は、馬毛の技術を発展させた朝鮮王朝の先人たちに敬意を表したものです。この受賞は、私の作品だけでなく、韓国の馬毛工芸にも光を与えてくれました」と、ダヘー・ジョンは受賞に際しコメントを寄せている。
不思議な透明感を持つバスケットのような立体作品は、木型を作ることからはじまる。木型を包み込むように馬毛を編み上げ、熱を加え成型する。現代で失われつつあるこの技術に新たな息吹を吹き込んだ彼女の作品には、タイトルが語る通り、かの時代から紡がれてきた悠久の時が刻まれ、静けさが漂う。
特別賞には、南アフリカのアンディル・ディヤルヴァーヌによる『コーニッシュ・ウォール』と、ドイツのユリア・オベマイアの『フェボーゲン』が受賞。ディヤルヴァーヌの作品は、盆栽箒などで模様を描いた大胆なコイル状の赤土の陶器で、アフリカ南部のコーサ文化とイギリスのコーンウォール地方の影響を色濃く映す。一方、オベマイアは、宝石に使われるロッククリスタルを構造物とした立体作品を作り、宝石の価値を再定義した点が評価された。
伝統工芸に新たな価値を創造する作品に光をあてる「ロエベ財団 クラフトプライズ」。そのユニークな試みは、伝統と革新という真の意味を、毎回、私たちに問いかけているようだ。
「CRAFT PRIZE」伝統的な技法や素材を、新しい表現へと昇華
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