ART
クリスト、25年前のプロジェクトを現地で振り返る。
October 21, 2016 | Art | casabrutus.com | photo_Takuya Neda text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
25年前、茨城県北部に1,340本もの巨大な傘が出現しました。18日間だけ展示されたクリストとジャンヌ=クロードの作品です。たくさんの人々が関わった一大プロジェクトの全容を振り返る展覧会が〈水戸芸術館 現代美術ギャラリー〉で開かれるのを機に、思い出の地を訪れたクリストに聞きました。
「あっ、ここだ! 車を停めて! ここに傘があったんだ」
車から外の景色を見てクリストが叫ぶ。《アンブレラ》は茨城県北部に1,340本の青い傘、カリフォルニアに1,760本の黄色い傘を立てるというプロジェクトだった。傘といっても高さ6m、直径8.66mという巨大なものだ。日本側で傘が立てられていたのは常陸太田市から旧里美村へ至る長さ約19kmのエリア。田んぼの中、神社の境内、林の脇、川の中とさまざまな場所だ。今回の個展のために来日したクリストは、半日かけて車で傘を立てたエリアを巡った。
「センチメンタル・ジャーニーだね」とクリストは笑う。
「プロジェクトをやった場所に行くのは好きなんだ。ジャンヌ=クロードともよく出かけたよ」
車から外の景色を見てクリストが叫ぶ。《アンブレラ》は茨城県北部に1,340本の青い傘、カリフォルニアに1,760本の黄色い傘を立てるというプロジェクトだった。傘といっても高さ6m、直径8.66mという巨大なものだ。日本側で傘が立てられていたのは常陸太田市から旧里美村へ至る長さ約19kmのエリア。田んぼの中、神社の境内、林の脇、川の中とさまざまな場所だ。今回の個展のために来日したクリストは、半日かけて車で傘を立てたエリアを巡った。
「センチメンタル・ジャーニーだね」とクリストは笑う。
「プロジェクトをやった場所に行くのは好きなんだ。ジャンヌ=クロードともよく出かけたよ」
クリストは1340本の傘を立てた位置を正確に覚えている。
「あそこの川を見て。そこにも傘があったんだよ」
「このお寺では境内に1本と、その脇の高台に1本立てたんだ。住職さんと傘を一緒に撮った写真もある」
「こっちの棚田では高い方の田んぼに1本、低い方に1本立てた。両方の傘が重なりあって、ちょっと珍しい眺めになったよ」
「ここでは家のすぐ脇に立てたんだけれど、普通に開くようにすると傘の骨が屋根にひっかかってしまう。だからこういうところでは、特別な開き方をするタイプのものにした。僕たちは『テレスコピック』(伸び縮みする)って呼んでいたんだ」
クリストに傘があった場所を教えてもらいながら歩いて行くと、目の前に鮮やかな青い傘が見えてくるような気がしてくる。四半世紀前のことを克明に覚えているクリストの記憶力に驚くと同時に、プロジェクトに対する彼の情熱が伝わってくる。
「あそこの川を見て。そこにも傘があったんだよ」
「このお寺では境内に1本と、その脇の高台に1本立てたんだ。住職さんと傘を一緒に撮った写真もある」
「こっちの棚田では高い方の田んぼに1本、低い方に1本立てた。両方の傘が重なりあって、ちょっと珍しい眺めになったよ」
「ここでは家のすぐ脇に立てたんだけれど、普通に開くようにすると傘の骨が屋根にひっかかってしまう。だからこういうところでは、特別な開き方をするタイプのものにした。僕たちは『テレスコピック』(伸び縮みする)って呼んでいたんだ」
クリストに傘があった場所を教えてもらいながら歩いて行くと、目の前に鮮やかな青い傘が見えてくるような気がしてくる。四半世紀前のことを克明に覚えているクリストの記憶力に驚くと同時に、プロジェクトに対する彼の情熱が伝わってくる。
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