ART
杉本博司 趣味と芸術─味占郷/今昔三部作
November 11, 2015 | Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono
古美術商の経験があり、日本美術をよく知る杉本博司。彼が個展を開く千葉市美術館は現代美術と日本の近世絵画・版画を中心に企画展を開催している。互いに古今を行き来するアーティストと美術館が出会って生まれる展覧会もまた、時空を超えた美を自在に組み合わせたものだ。
二部構成の展示のうち「趣味と芸術」と称する場では、杉本が収集する平安から江戸の古物、西洋伝来の品々、昭和の珍品などで構成した27の床のしつらえを見せる。《レンブラント天使来迎図》、《織部燭台》、白井晟一の書、奈良時代の《百万塔》などの取り合わせの妙が意外性のある美を生んでいる。
「今昔三部作」では杉本の代表作といえる〈ジオラマ〉〈劇場〉〈海景〉の3つのシリーズを展示。80年代の初期作から幅4m超の〈ジオラマ〉シリーズ《オリンピック雨林》など最新作まで、杉本の古今を見せる。古代から現代までを巧みに組み合わせた展示に、杉本の奥行きが現れる。