ART
ロンドンから珠玉の印象派コレクションが来日!
| Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
めったに館外貸出をしないことで知られるロンドンの〈コートールド美術館〉。同館の質の高いコレクションからマネ《フォリー=ベルジェールのバー》など有名作がやってきます! 『怖い絵』の著者、中野京子さんも注目する展覧会です。
ロンドンのコートールド美術館は繊維業で財を成した20世紀初頭の実業家、サミュエル・コートールドのコレクションを基にした美術館。彼は、当時のイギリスではさほど評価されていなかった印象派・ポスト印象派の作品をイギリスで見せたいと考え、それらの作品を積極的に収集していた。現在、コートールド美術館の核となっている名作が改修工事のため特別に来日。ゴッホ、モネ、セザンヌ、モディリアーニなど約60点の絵画・彫刻がやってくる。
中でも見逃せないのがマネ最晩年の傑作《フォリー=ベルジェールのバー》だ。おおぜいで客で賑うバーのカウンターにバーメイドが手をついて立っている。カウンターの背後には大きな鏡があり、バーメイドが男性客の相手をしていることがわかる。しかしバーメイドが正面から描かれているのだから、鏡の中の2人は中央に近い位置に描かれているはずだ。
「マネは鏡の中の2人を最初、もっと中央寄りに描いていたのですが、そのあと少しずつ右へずらしていったことがわかっています。こうして全体の構図を三角形にすることで、中央のバーメイドを際立たせ、荘厳ささえ漂う画面に仕上げているのです」と作家・ドイツ文学者の中野京子さんは言う。
この頃、マネは病を患い、外出もままならなくなっていた。そのためアトリエにバーカウンターをしつらえ、この絵を描いた。こうしてリアリズムを追求する一方、鏡の中の像をずらして現実の光景を変容させているのだ。
この頃、マネは病を患い、外出もままならなくなっていた。そのためアトリエにバーカウンターをしつらえ、この絵を描いた。こうしてリアリズムを追求する一方、鏡の中の像をずらして現実の光景を変容させているのだ。
Loading...
