ARCHITECTURE
メキシコとイギリスが出会う、この夏のパビリオン。
『カーサ ブルータス』2018年8月号より
July 14, 2018 | Architecture, Travel | window on the world | photo_HarukoTomioka text_Megumi Yamashita
サーペンタイン・ギャラリーの前に毎夏登場する恒例の建築パビリオン。18回目の今回、設計者にセレクトされたのは歴代最年少という38歳のメキシコ人建築家フリーダ・エスコベドだ。
コンセプトはメキシコ建築とイギリスの歴史や素材との融合。メキシコの透かし壁「セロシア」をイギリス産のコンクリート瓦を使って表現する。波形の瓦には2つずつ穴があけられ、それらを鉄のロッドに通しながら、バスケットを編むように壁を構築している。ダークグレーの瓦とその隙間から溢れる空の青や木々の緑のコントラストが美しく、ミラー仕上げのステンレス張り天井、床の一部の水盤にも風景が複雑に映り込む。
ロンドンにあるグリニッジ子午線へのトリビュートで、内側の壁は南北を結ぶライン上にある。日時計のように太陽の位置や天気への気づきを促すなど、多要素を盛り込んだ意欲作だ。
〈Serpentine Gallery〉Kensington Gardens London W2 3XA TEL(44)20 7402 6075。10時〜18時。10月7日まで。本館では9月9日までクリスト&ジャン・クロード展を開催中で、サーペンタイン池にも巨大作品が浮遊中。この会期中無休。入場無料。