ARCHITECTURE
女優・池田エライザと巡る。名建築〈東京都庭園美術館〉。
August 28, 2020 | Architecture, Culture | casabrutus.com | photo_Junpei Kato text_Housekeeper
“建築”がテーマのドラマ『名建築で昼食を』に出演中の池田エライザさんと、劇中でも舞台となる〈東京都庭園美術館〉を巡りました。Casa BRUTUSでもおなじみの文筆家・甲斐みのりの著書『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』が原案となったドラマの魅力、そして名建築を訪れる楽しみを語っていただきます。
・Scene1 正面玄関
都内の名建築の数々を、その場所でいただける名物グルメとあわせて紹介した甲斐みのりの著書『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築散歩』。以前にCasa BRUTUSでも紹介したこの本が、なんとドラマの原案に。『名建築で昼食を』(テレビ大阪/BSテレ東、全10話)は、有名建築家を父に持つ建築模型士の植草千明(田口トモロヲ)と、広告代理店に勤務し将来はカフェ開業を夢見る春野藤(池田エライザ)がともに10の名建築を巡って、空間を味わい、その背景を学び、食を楽しむ。アドリブを交えたドキュメンタリータッチの映像を通して建築を堪能することができる、新たな切り口の“建築ドラマ”だ。
紹介される建築は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが手がけたアール・デコ調のホテルから、前川國男や吉村順三、さらにはフランク・ロイド・ライトといったモダニズムの巨匠たちの作品、さらには安藤忠雄による図書館まで幅広い。今回は、第4話の舞台となった〈東京都庭園美術館〉を女優・池田エライザとともに巡った。
紹介される建築は、ウィリアム・メレル・ヴォーリズが手がけたアール・デコ調のホテルから、前川國男や吉村順三、さらにはフランク・ロイド・ライトといったモダニズムの巨匠たちの作品、さらには安藤忠雄による図書館まで幅広い。今回は、第4話の舞台となった〈東京都庭園美術館〉を女優・池田エライザとともに巡った。
・Scene2 次室〜大客室
▶︎朝香宮夫妻の“暮らしぶり”を想像させられる。
〈東京都庭園美術館〉は朝香宮夫妻の邸宅として1933年に竣工した建物で、別名は〈旧朝香宮邸〉。1925年のパリのアール・デコ博を見て刺激を受けた夫妻のリクエストを、宮内省・内匠寮の腕利きの技師たちが、細部にわたるまで巧みに表現している。デザインを愛した夫妻が実際に住まった“暮らしの場”としてこの建築を見たときに、浮かび上がってくる魅力がある。
池田エライザ(以下、池田) すごく高い天井や、いろんな部分に施されている豪華な装飾を見ると、住宅としてはなかなか馴染みのない規模感ですよね。一方で、食堂のテーブルが意外なほど小さかったり、その椅子が「絶対に太れない!」と思うほどの細さだったり、インテリアにおける“リアルクローズ”な感じもある。海外で見る立派な建物とはまたひと味違う、いい意味でのちぐはぐ感というか、少しだけ身近に感じられる“温度感”のある空間だと思いました。
〈東京都庭園美術館〉は朝香宮夫妻の邸宅として1933年に竣工した建物で、別名は〈旧朝香宮邸〉。1925年のパリのアール・デコ博を見て刺激を受けた夫妻のリクエストを、宮内省・内匠寮の腕利きの技師たちが、細部にわたるまで巧みに表現している。デザインを愛した夫妻が実際に住まった“暮らしの場”としてこの建築を見たときに、浮かび上がってくる魅力がある。
池田エライザ(以下、池田) すごく高い天井や、いろんな部分に施されている豪華な装飾を見ると、住宅としてはなかなか馴染みのない規模感ですよね。一方で、食堂のテーブルが意外なほど小さかったり、その椅子が「絶対に太れない!」と思うほどの細さだったり、インテリアにおける“リアルクローズ”な感じもある。海外で見る立派な建物とはまたひと味違う、いい意味でのちぐはぐ感というか、少しだけ身近に感じられる“温度感”のある空間だと思いました。
・Scene3 大食堂
食堂の照明がパイナップルのかたちであったり、鉄製の空調カバーに魚のモチーフが描かれていたり、ふっと微笑んでしまうようなユーモアも細部に見られる。
池田 「優しいアイデアだな」って思いますよね。そういったディティールのおかげで、「あぁ、豪華だなぁ」だけでは済まさせない、嫌味だとは感じさせない雰囲気が生まれているんだと思います。2階の妃殿下の寝室の壁が、もともとは赤色だったという話も印象的でした。現代人はみんな疲れているからなのか(笑)、赤い部屋って落ち着かないんじゃないかとも思うんです。自分だったら寝室には、目に優しいようなものばかり置いてしまう。それでも、赤い壁や、ドレープのついた黄色いランプといった、まさに“妃”というイメージの空間に住まおうという、その心を持っていることがすごいと思う。憶測でしかないんですが、もしかしたらそういう部屋に住むことによって、自分を奮い立たせていたのかもしれない。玄関に敷かれた、手作業で作られた天然石のタイルもそうですが、パッと見て「高そう!」というものを並べるのではなく、訪れた人やそこで過ごす人が、優雅な気持ちになれるアイデアが、細かく散りばめられている。その贅沢の仕方が、格好いいと思います。実際に見て回っていると、ちょっと歓迎されているような気持ちになれる。
池田 「優しいアイデアだな」って思いますよね。そういったディティールのおかげで、「あぁ、豪華だなぁ」だけでは済まさせない、嫌味だとは感じさせない雰囲気が生まれているんだと思います。2階の妃殿下の寝室の壁が、もともとは赤色だったという話も印象的でした。現代人はみんな疲れているからなのか(笑)、赤い部屋って落ち着かないんじゃないかとも思うんです。自分だったら寝室には、目に優しいようなものばかり置いてしまう。それでも、赤い壁や、ドレープのついた黄色いランプといった、まさに“妃”というイメージの空間に住まおうという、その心を持っていることがすごいと思う。憶測でしかないんですが、もしかしたらそういう部屋に住むことによって、自分を奮い立たせていたのかもしれない。玄関に敷かれた、手作業で作られた天然石のタイルもそうですが、パッと見て「高そう!」というものを並べるのではなく、訪れた人やそこで過ごす人が、優雅な気持ちになれるアイデアが、細かく散りばめられている。その贅沢の仕方が、格好いいと思います。実際に見て回っていると、ちょっと歓迎されているような気持ちになれる。
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