クリエイションの源は愛! 名作を生んだ芸術家カップル。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

クリエイションの源は愛! 名作を生んだ芸術家カップル。

『カーサ ブルータス』2018年6月号より

愛する人からインスピレーションを得たクリエイターたち。刺激し合うカップルがテーマの展覧会がフランスで開催中です。

撮影者不明《ヨゼフ・アルバースとアンニ ブラックマウンテンカレッジ、カリフォルニア》1935年 The Josef & Anni Albers Foundation © Albers Foundation/Art Resource, NY
恋愛はクリエイションの大きな源泉だ。恋の喜びや苦しみが新たな表現を生むこともある。20世紀前半に活躍したカップル40組の展覧会が〈ポンピドゥーセンター・メス〉で開かれている。

キュレーターは、男性にインスピレーションを与えるミューズ(女神)としてだけでなく、自らも画家やデザイナー、評論家、ダンサーなどとして活躍した女性をとりあげる。ピカソの愛人の一人、ドラ・マールはシュルレアリスムの写真家だった。メキシコ壁画運動で知られるディエゴ・リベラの妻フリーダ・カーロは、今ではディエゴよりも高く評価されている。アルプ夫妻、アルバース夫妻、バーバラ・ステパーノワとアレクサンドル・ロトチェンコ夫妻は生活をともにしながらアーティスト、デザイナーとして刺激し合った。

モデルだったリー・ミラーは写真の師匠であり、恋人でもあったマン・レイとともにソラリゼーションという技法を生み出し、別れた後は写真家として活躍する。アイリーン・グレイの住宅〈E.1027〉は恋人の建築ジャーナリスト、ジャン・バドヴィッチのために作られたものだ。同性愛者だったジャン・コクトーの恋人であり、作家のジャン・デボルドや未来派の画家、マリネッティ夫人であり、同じく未来派の画家として活動したベネデッタ・カッパなど、あまり知られていない人々も登場する。

20世紀の芸術やデザインでは、ともすれば男性だけが表舞台に立っているように見える。しかしその裏側では果敢にクリエイションに挑戦していた女性たちがいた。歴史に埋もれてしまいがちな女性にスポットをあてることで20世紀美術の新しい顔が見えてくる。
ドラ・マール × ピカソ 知性と激情から生まれたアート。ドラ・マールの姿から有名な《泣く女》などの絵が描かれる。彼女は《ゲルニカ》の制作過程の写真でも知られる。ピカソ《女の顔》1938年 Paris, Centre Pompidou, Musée national d’art moderne © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP © Succession Picasso 2017 
ドラ・マール × ピカソ 知性と激情から生まれたアート。 ピカソが1936年に出会ったドラ・マールはシュルレアリスムの写真家。ピカソの母国語であるスペイン語を話し、スペイン内戦について語り合うなど知的な女性だったが感情的でもあり、よく泣いていた。ドラ・マール《無題》1934年 Collection Centre Pompidou, Paris Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle © Centre Pompidou,MNAM-CCI/Jacques Faujour /Dist. RMN-GP  © Adagp, Paris 2018 
ドラ・マール × ピカソ 知性と激情から生まれたアート。 多くの愛人がいたピカソは恋愛相手によって画風が変わった。ドラ・マール《パブロ・ピカソ》1935〜36年 Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / image Centre Pompidou, MNAM-CCI © Adagp, Paris 2017
ドラ・マール × ピカソ 知性と激情から生まれたアート。ドラ・マールの姿から有名な《泣く女》などの絵が描かれる。彼女は《ゲルニカ》の制作過程の写真でも知られる。ピカソ《女の顔》1938年 Paris, Centre Pompidou, Musée national d’art moderne © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP © Succession Picasso 2017 
ドラ・マール × ピカソ 知性と激情から生まれたアート。 ピカソが1936年に出会ったドラ・マールはシュルレアリスムの写真家。ピカソの母国語であるスペイン語を話し、スペイン内戦について語り合うなど知的な女性だったが感情的でもあり、よく泣いていた。ドラ・マール《無題》1934年 Collection Centre Pompidou, Paris Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle © Centre Pompidou,MNAM-CCI/Jacques Faujour /Dist. RMN-GP  © Adagp, Paris 2018 
ドラ・マール × ピカソ 知性と激情から生まれたアート。 多くの愛人がいたピカソは恋愛相手によって画風が変わった。ドラ・マール《パブロ・ピカソ》1935〜36年 Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / image Centre Pompidou, MNAM-CCI © Adagp, Paris 2017
アンニ・アルバース × ヨゼフ・アルバース 仲よき夫婦は造形研究も二人で。 織りの縦糸と横糸が重なってさまざまな模様ができるのを見てヨゼフは、重ねた色の帯が生む効果などを研究した。アンニは近年、再評価が進んでいる。アンニ・アルバース《メモ》1958年 The Joseph H. Hirshhorn Bequest, 1981  Photography by Cathy Carver. Hirshhorn Museum and Sculpture Garden, Washington, D.C.  © Adagp, Paris 2018
アンニ・アルバース × ヨゼフ・アルバース 仲よき夫婦は造形研究も二人で。 妻は織りを、夫は絵画を手がける。ヨゼフ・アルバース《正方形へのオマージュ》1954年 Collection Centre Pompidou, Paris  Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle © Centre Pompidou,MNAM-CCI/Bertrand Prévost /Dist. RMN-GP © The Josef and Anni Albers Foundation © Adagp, Paris 2018
アンニ・アルバース × ヨゼフ・アルバース 仲よき夫婦は造形研究も二人で。 バウハウスで出会った二人は後にアメリカへ亡命、南米などを旅した。撮影者不明《ヨゼフ・アルバースとアンニ ブラックマウンテンカレッジ、カリフォルニア》1935年 The Josef & Anni Albers Foundation © Albers Foundation/Art Resource, NY
アンニ・アルバース × ヨゼフ・アルバース 仲よき夫婦は造形研究も二人で。 織りの縦糸と横糸が重なってさまざまな模様ができるのを見てヨゼフは、重ねた色の帯が生む効果などを研究した。アンニは近年、再評価が進んでいる。アンニ・アルバース《メモ》1958年 The Joseph H. Hirshhorn Bequest, 1981  Photography by Cathy Carver. Hirshhorn Museum and Sculpture Garden, Washington, D.C.  © Adagp, Paris 2018
アンニ・アルバース × ヨゼフ・アルバース 仲よき夫婦は造形研究も二人で。 妻は織りを、夫は絵画を手がける。ヨゼフ・アルバース《正方形へのオマージュ》1954年 Collection Centre Pompidou, Paris  Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle © Centre Pompidou,MNAM-CCI/Bertrand Prévost /Dist. RMN-GP © The Josef and Anni Albers Foundation © Adagp, Paris 2018
アンニ・アルバース × ヨゼフ・アルバース 仲よき夫婦は造形研究も二人で。 バウハウスで出会った二人は後にアメリカへ亡命、南米などを旅した。撮影者不明《ヨゼフ・アルバースとアンニ ブラックマウンテンカレッジ、カリフォルニア》1935年 The Josef & Anni Albers Foundation © Albers Foundation/Art Resource, NY
ゾフィー・トイベル=アルプ × ジャン・アルプ 夫の方向性を決定づけた妻。 ゾフィーとアルプによるタペストリー。ジャン・アルプとゾフィー・トイベル=アルプ《無力なシンメトリー》1916〜17年 Paris, Centre Pompidou, Musée national d’art moderne © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Jacqueline Hyde/Dist. RMN-GP © Adagp, Paris 2017 
ゾフィー・トイベル=アルプ × ジャン・アルプ 夫の方向性を決定づけた妻。 1915年にゾフィー・トイベル(左)と出会ったジャン・アルプ(右)は抽象的、幾何学的な作風に影響を受け、絵画やタペストリー、コラージュなどを共同制作する。1943年にゾフィーが事故死するとジャンは4年ほど制作ができなくなり、彼女に捧げる詩を書いて過ごした。右/撮影者不明《単眼鏡をしたジャン・アルプ》1926年頃 Stiftung Arp e.V., Berlin/Rolandswerth 左/ニック・アルプ《ダダの頭部があるゾフィー・トイベル=アルプ》1920年 Stiftung Arp e.V., Berlin/Rolandswerth 
ゾフィー・トイベル=アルプ × ジャン・アルプ 夫の方向性を決定づけた妻。 ゾフィーとアルプによるタペストリー。ジャン・アルプとゾフィー・トイベル=アルプ《無力なシンメトリー》1916〜17年 Paris, Centre Pompidou, Musée national d’art moderne © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Jacqueline Hyde/Dist. RMN-GP © Adagp, Paris 2017 
ゾフィー・トイベル=アルプ × ジャン・アルプ 夫の方向性を決定づけた妻。 1915年にゾフィー・トイベル(左)と出会ったジャン・アルプ(右)は抽象的、幾何学的な作風に影響を受け、絵画やタペストリー、コラージュなどを共同制作する。1943年にゾフィーが事故死するとジャンは4年ほど制作ができなくなり、彼女に捧げる詩を書いて過ごした。右/撮影者不明《単眼鏡をしたジャン・アルプ》1926年頃 Stiftung Arp e.V., Berlin/Rolandswerth 左/ニック・アルプ《ダダの頭部があるゾフィー・トイベル=アルプ》1920年 Stiftung Arp e.V., Berlin/Rolandswerth 
フリーダ・カーロ × ディエゴ・リベラ 愛の苦しみが描かせた絵画。 年の差およそ20歳、当時既に国民的壁画家だったディエゴと結婚したフリーダは交通事故の後遺症と夫の女性関係に悩まされる。フリーダ・カーロ《額縁》1938年 © Service de la documentation photographique du MNAM - Centre Pompidou, MNAM-CCI /Dist. RMN-GP  © Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F. / Adagp, Paris 2018
フリーダ・カーロ × ディエゴ・リベラ 愛の苦しみが描かせた絵画。 フリーダは人生における苦悩を絵画に昇華する一方、自身もイサム・ノグチやトロツキーと関係する。が、ディエゴは妻の才能を認めていた。ニコラス・ムライ《フリーダと帽子を持つディエゴ》1939年 Throckmorton Fine Art Courtesy Throckmorton Fine Arts; © Nickolas Muray Photo Archives Photo by Nickolas Muray, © Nickolas Muray Photo Archives 
フリーダ・カーロ × ディエゴ・リベラ 愛の苦しみが描かせた絵画。 年の差およそ20歳、当時既に国民的壁画家だったディエゴと結婚したフリーダは交通事故の後遺症と夫の女性関係に悩まされる。フリーダ・カーロ《額縁》1938年 © Service de la documentation photographique du MNAM - Centre Pompidou, MNAM-CCI /Dist. RMN-GP  © Banco de México Diego Rivera Frida Kahlo Museums Trust, Mexico, D.F. / Adagp, Paris 2018
フリーダ・カーロ × ディエゴ・リベラ 愛の苦しみが描かせた絵画。 フリーダは人生における苦悩を絵画に昇華する一方、自身もイサム・ノグチやトロツキーと関係する。が、ディエゴは妻の才能を認めていた。ニコラス・ムライ《フリーダと帽子を持つディエゴ》1939年 Throckmorton Fine Art Courtesy Throckmorton Fine Arts; © Nickolas Muray Photo Archives Photo by Nickolas Muray, © Nickolas Muray Photo Archives 

〈ポンピドゥーセンター・メス〉 モダン・カップル 1900-1950

8月20日まで。10月10日から2019年1月27日までロンドンの〈バービカンセンター〉に巡回。