アカデミー賞にノミネートされた、話題のアニメーションユニットとは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アカデミー賞にノミネートされた、話題のアニメーションユニットとは?

『カーサ ブルータス』2018年4月号より

今年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた『Negative Space』は、日本人とアメリカ人の夫婦ユニットによって作られました。

眺めるだけで楽しい小道具はマックス・ポーターの私物がモデルに。
複数のスケールが入り交じる人形アニメならではの演出。
寒さを感じさせる町並みもキュート。
アメリカを拠点に、世界を股にかけて活動する2人組のアニメーションユニット〈タイニー・インヴェンションズ〉。フランスで制作した短編作品『Negative Space』は、ロン・カーチーの短い詩を原作に、出張が多い父親とその息子の交流を、人間味あふれる人形と丁寧に作られた小道具を用いて語る。言葉ではなくスーツケースに荷物を詰めることを通じて深く心を通わせる親子の物語は、人形アニメで展開されることで、皆の心に染み入る。この作品はいかにして生まれたのか? 桑畑かほるに話を聞いた。

Q なぜアニメーション制作を?
幼い頃、NHK教育(現Eテレ)の『できるかな』が大好きで、のっぽさんの工作を真似していろいろな物を作りました。その後、自作の漫画を描くようになりました。大学時代、アニメーションなら工作と漫画のストーリー作りの両方を生かせる事に気づきました。自分の作った世界で、キャラクターが次々と生まれてくる……そんな瞬間に虜になってしまいました。

Q 『Negative Space』には個人的な思い出も入っているようですね。
父が出張の多い仕事柄、スーツケースを荷造りしている姿を見て育ちました。動物園や遊園地に一緒に行った記憶は余りないのですが、書斎の壁に貼ってあった「持ち物リスト」を元に、父が順番に洋服やポーチを詰めたり、時計の時刻をきっちりと合わせる姿が今でも脳裏に焼きついています。
照明も含めた細かい配慮が作品世界を作り上げる。
シンプルながら性格が伝わる人形のデザイン。
Q パッキングのシーンの演出は、どのように思いついたのでしょうか?
こだわったのは、静と動の対照的な演出です。人形は、感情表現が控えめな父と子の関係を表現すべく、出来るだけ表情や動きを抑えました(静)。逆に洋服や小物は、主人公の楽しい思い出を表現すべく、カラフルで遊び心にあふれたデザインにしました(動)。

Q 造形やデザインのインスピレーションのもとは?
自分の日常生活の中にあるものからヒントを得ることが多いです。特にこだわっているのは、物の質感や触り心地を再現すること。というのは、子供の頃の出来事を思い出すと、ウールのセーターがチクチクしていたとか、家のソファの生地がざらざらしていたとか、常に物の質感や触り心地と結びついているからです。そのために一番心がけているのは、リアル感と手作り感をバランスよく混ぜること。ある友人が持ち寄りの夕食会にマッシュドポテトを持ってきたのですが、ジャガイモを全部つぶさず、わざと原型を残していました。そうすれば、手作りだと皆が分かるからです。私が目指すのはまさにそれなので、彼の「マッシュポテト定義」を活用しました。

Q 次の作品は?
これまで日本、米国、オランダ、フランスと4か国に住みました。文化の架け橋をテーマに、その経験から感じたことを表現したいです。
この造形の小ささ! フランスのスタジオの職人芸。

タイニー・インヴェンションズ 

桑畑かほる(左)とマックス・ポーター(右)の2人による夫婦ユニット。シンプルかつひねりの利いたストーリーと愛らしい人形を駆使し、MV・CM・短編作品と幅広く手がける。

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