アートが〈代官山ヒルサイドテラス〉をジャック! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アートが〈代官山ヒルサイドテラス〉をジャック!

都市におけるアートプロジェクトの先駆けとして、その土地、地域に密接に結びついた作品をつくってきた川俣正。今回は〈代官山ヒルサイドテラス〉のルーフトップに作品を設置し、道行く人の注目を集めている。

movie_Gen Inoue 提供:アートフロントギャラリー
今月半ば、代官山ヒルサイドテラスの屋上に突如出現した、川俣正の木材を使用したアート。 photo_Gen Inoue
「製作プロセスそのもの」を丸ごと作品にするアーティストとして知られる川俣正は、世界中のさまざまな場でインスタレーションを展開してきた。この夏、代官山に突如出現した《工事中》は、建築家、槇文彦の代表作として知られる〈代官山ヒルサイドテラス〉のルーフトップをジャックするインスタレーションだ。
1984年当時の作品《工事中》の様子。代官山ヒルサイドテラスのリノベーション工事に合わせて、作品は建物全体を囲むように長期にわたって展示される予定だったが、近隣の店舗などからの抗議を受けて1週間程度で撤去された。
実は、この《工事中》は、33年前、同名のプロジェクトを同じ場所で行ったことに由来する。1984年、川俣は〈代官山ヒルサイドテラス〉の側面に、木材を利用したインスタレーション《工事中》を公開した。当時は街なかにアートが展開することは、ほとんどなかったこともあり、テナントの理解も得られず、1週間ほどで撤去することとなった。川俣は当時を振り返って「33年前は商業空間でやるということが全く初めてのことで、よくわかっていなかった。けれど、それから先、いろんなことをやっていく中で、《工事中》は僕の中である種のメルクマールになったと思います」と語る。
ギャラリーでは、1984年当時の「工事中」展の写真や模型、ドローイング、今回のインスタレーションにまつわる新たな作品が展示されている。
さまざまな角度から入念に練られたプランだということがわかる。
ギャラリーでは、1984年当時の「工事中」展の写真や模型、ドローイング、今回のインスタレーションにまつわる新たな作品が展示されている。
さまざまな角度から入念に練られたプランだということがわかる。
川俣は、ルーフトップに作品を設置するアイデアを80年代から温めてはいたが、本作にいたるまで実現したことはなかった。今回、なぜルーフトップを選んだのかというと、ヒルサイドテラス並びの代官山交番前の交差点にかかる歩道橋が今年いっぱいで撤去されることを知ったから。低層のヒルサイドテラスは歩道橋から眺めると、ちょうど見下ろせる良い位置にあるのだ。