今こそオープンエアでアート鑑賞を! 注目の最新・野外アート作品7選|吉田実香のNY通信 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

今こそオープンエアでアート鑑賞を! 注目の最新・野外アート作品7選|吉田実香のNY通信

NYで今、特に心惹かれるのが屋外でのアート体験だ。市内の公園、そして州北部のハドソンヴァレーで体験できる最新の野外アート作品を紹介します。

タンダ・フランシス《RockItBlack》。クイーンズ地区の〈クイーンズブリッジ・パーク〉で展示中。
【クイーンズブリッジ・パーク/クイーンズ】

話題のアフリカ系彫刻家、タンダ・フランシスのパブリックアート。

クイーンズボロー橋を背景に、イーストリバー沿いの公園にそびえる黒い彫刻はその名も《RockItBlack》。NYを拠点に活動するアーティスト、タンダ・フランシスが発表するやいなや話題をさらった作品だ。

2020年、今なおアフリカ系の人々の命や人権を踏みにじる制度的人種差別に対し、正義と変革を訴え全米各地で人々が蜂起した「ブラック・ライブズ・マター」運動。抗議活動から飛び火した破壊行為から店や建物を自衛するため、町中の店舗という店舗にベニヤ板のバリケードが張られた光景は今も人々の記憶に新しい。そして、そのバリケードに使われたベニヤ板で作った彫刻が《RockItBlack》なのである。

激しい抗議活動もひとまず収束。破棄されかけていた大量の使用済みベニヤ板を回収し、アート作品として再生しよう。そう思いついたのは、パブリックアートに携わるアーティストを制作面から支援するNPO〈Worthless Studios〉。《プライウッド・プロテクション・プロジェクト》と銘打ったこのアートプロジェクトに選ばれた作家5名のうちの1人が、タンダ・フランシス。これまでもパブリックアートを制作してきた彫刻家だ。BLMムーブメントまっ盛りの時には乳児を抱えていた彼女は、ストリートに出てデモに参加できなかった分、情熱を作品制作に注ぎ込んだという。
顔の部分は黒く磨き上げられたコンクリート。トップにはアルミニウムの鏡をはめ込んである。
BLMの抗議デモでグラフィティが描かれたベニヤ板を用いている。
作品に近寄るとハッとするかもしれない。「作品にラクガキが?」だが実はこれ、ベニヤ板に元からあったグラフィティである。バリケードに使われていた時に描かれた部分を作品に生かすことで、BLMという出来事が形に刻みつけられた。

《RockItBlack》の原点は、古代アフリカの伝承にある女神たちだ。豊穣の女神オシュンや水の女神ママワタをインスピレーションに、人の気高さを写し取るかのような立体作品が生み出された。ちなみに先頃、タンダの新たな頭像がオランダ版〈ヴァニティ・フェア〉誌の表紙を堂々飾ったという知らせが飛び込んだ。それも同国で活躍するアフリカ系バレリーナ、ミカエラ・デプリンスとの2ショットだとか。国境を越えて心に訴える彼女の作品を、河や街の景観と共に体験したい。《RockItBlack》は2022年5月まで展示の予定。

〈Queensbridge Park〉

41 Rd., 40 Ave. bet. the East River, Vernon Blvd., and 21 St. NY。6時~21時。無休。入園無料。公式サイト

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