ART
メトのファッション展、テーマは「時間」です。
December 11, 2020 | Art, Fashion | casabrutus.com | text_Mika Yoshida & David G. Imber ©The Metropolitan Museum of Art
毎年恒例〈メトロポリタン美術館〉のファッション展。今回の『About Time: Fashion and Duration』は時期を移し、2021年2月7日まで開催中だ。時間という概念を軸に、過去150年のファッションを考察する。
150周年を迎えた〈メトロポリタン美術館〉が、節目となる今年に開催するファション展のテーマは「時」。過去150年に及ぶファッションの重層的な歩みを、同館コスチューム・インスティチュートの所蔵品を中心とした125点ものファッションで紹介する。
会場となる2部屋のうち、最初のギャラリーは黒一色。1870年から2020年までの間に咲いては散り、進化してきたファッションの歴史を見せる。一面ミラーで囲まれた2番目のギャラリーでは、時代を超えて通底するシルエットや素材、美学が確かめられる。例えば1926年に発表されたガブリエル・シャネルの《リトル・ブラックドレス》と、2018年のヴァージル・アブローによる同名のドレス。両者が並び、100年近くの時を隔てて呼応しあう。
会場となる2部屋のうち、最初のギャラリーは黒一色。1870年から2020年までの間に咲いては散り、進化してきたファッションの歴史を見せる。一面ミラーで囲まれた2番目のギャラリーでは、時代を超えて通底するシルエットや素材、美学が確かめられる。例えば1926年に発表されたガブリエル・シャネルの《リトル・ブラックドレス》と、2018年のヴァージル・アブローによる同名のドレス。両者が並び、100年近くの時を隔てて呼応しあう。
床には時計の文字盤を思わせるビジュアルが描かれ、1分ごとに刻んだ’距離でファッションの歩みを示す。幻想的なセットデザインを手がけたのはエス・デヴリンだ。ビヨンセやビリー・アイリッシュを始め世界中のクリエイターからラブコールを浴びる、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのイギリスのデザイナー/アーティストである。
展示のフィナーレを飾るのは、ヴィクター&ロルフによる2020年のドレス。過去のクチュールをパッチワークしたアップサイクルだ。サステナビリティ、モノを大切にし、長い歳月にわたって使い、クオリティを重視する。キュレーターのアンドリュー・ボルトンはここにファッションの未来を予感する。
時間でファッションを読み解く『About Time: Fashion and Duration』展。アンドリュー・ボルトンが企画・制作に取りかかっていたのは昨年のことだ。個人の時間感覚と、実際の月日の流れとの違和感を誰もが覚えるこのご時世に奇しくも催される、その先見の明も読み取りたい。
『About Time: Fashion and Duration』
〈The Metropolitan Museum of Art〉
1000 5th Ave., New York Iris and B. Gerald Cantor Exhibition Hall, Floor 2.TEL (1)212 535 7710。~2021年2月7日。10時~17時。火曜・水曜休。入館料25ドル。前もって時間制チケットを予約のこと。