さようなら、クリスト。梱包するアーティスト、84歳で逝去。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

さようなら、クリスト。梱包するアーティスト、84歳で逝去。

建造物や自然を「梱包」してしまう壮大なインスタレーションで知られるクリスト&ジャンヌ=クロード。そのひとりであるクリストが、5月31日にニューヨークで亡くなった。クリスト&ジャンヌ=クロードの作品を振り返る。

2016年、〈水戸芸術館 現代美術ギャラリー〉での個展で来日した際、《アンブレラ》のドローイングの前に立つクリスト。 photo_Takuya Neda
コロナウイルス感染症の影響によって7月に開催が延期されたパリ〈ポンピドゥー・センター〉での展覧会『クリスト&ジャンヌ=クロード パリ!』。そのオープンを待たずしての旅立ちとなってしまった。

クリスト・ヴラディミロフ・ジャヴァチェフは1935年にブルガリアのガブロヴォで生まれた。1958年、モロッコ生まれのフランス人で同年同日に生まれたジャンヌ=クロード・ドゥナ・ドゥ・ギュボンと、パリで出会う。公私のパートナーとなったふたりは1961年より連名で作品を発表し始める。2009年のジャンヌ=クロードの他界後も、その形式は継続している。
全く同じ日に生まれたクリスト&ジャンヌ=クロードのふたり。2005年2月、ニューヨークのセントラルパークに登場したサフラン色の布を垂らした7503のゲイトを設置したインスタレーション「ザ・ゲイト」にて。 Photo: Wolfgang Volz
初のコラボレーション作品はオイルバレル(ドラム缶)を使ったもので、以来、このオイルバレルはしばしば作品に登場する。アラブ首長国連邦の砂漠に41万個のドラム缶を積み上げるという超巨大作品《マスタバ》は、1977年から継続して計画中だ。こちらはまだ建設の目処が立っていないが、2018年にはロンドン、ハイドパークのサーペンタイン湖上にその縮小版と言える《ロンドン・マスタバ》が3ヶ月限定で登場した。
ロンドン、ハイドパークのサーペンタイン湖上に登場した《ロンドン・マスタバ》(2018) Photo: Wolfgang Volz
コロラドの渓谷にオレンジの布を張った《ヴァレー・カーテン》(1970−72) Photo: Wolfgang Volz
フロリダ、ビスケーン湾の11の島を計650万平米に及ぶピンクの布で囲んだ《囲まれた島》(1983) Photo: Wolfgang Volz © 1995 Christo
パリの橋を布とロープと鎖で梱包した《ポン・ヌフの梱包》(1985) は実現まで10年かかった。 Photo: Wolfgang Volz © 1995 Christo
「梱包」という方式は小さいものから始まり、次第にモニュメントや建造物を包んだり、自然の景観に布を敷き詰めたりと、規模が巨大化していく。コロラドの渓谷にオレンジの布を張った《ヴァレー・カーテン》(1970−72)、マイアミ沖の11の島をピンクの布で囲んだ《囲まれた島》(1983)、パリの橋を乳白色の布で覆った《ポン・ヌフの梱包》(1985)などで広く知られるところとなる。1991年には茨城県に1340本の青色の傘、カリフォルニアに1760本の黄色い傘を立てるという《アンブレラ》が実現する。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます