ART
神戸の街を変容させるグレゴール・シュナイダー作品。
『カーサ ブルータス』2019年10月号より
September 11, 2019 | Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono
街の姿を変えるアート・プロジェクト『TRANS-神戸』。二人の作家が見たことのない場を体験させます。
『TRANS-神戸』はグレゴール・シュナイダーとやなぎみわ、二人のみによるアート・プロジェクト。神戸のいくつかの場を異次元に空いた穴のような空間に変えてしまう。
グレゴール・シュナイダーの《美術館の終焉¦12の道行き》では12のスポットで観客がそれぞれ、VRやパフォーマンス、彼のインスタレーションを体験することで通常とは異なる時間の流れを感じることになる。たとえば《消えた現実》は昭和43年に建設された〈旧兵庫県立健康生活科学研究所〉の内部をまるごと作品化するもの。観客は、今は使われていない感染症や食品などの検査室や研究室をさまよい歩く。《住居の暗部》はこちらも昨年、閉鎖された低所得労働者向け一時宿泊施設〈神戸市立兵庫荘〉が舞台だ。今も二段ベッドに競馬新聞や酒瓶が残る室内を黒一色に変える。その他にアメリカのグアンタナモ湾収容キャンプを再現した通路など、謎めいた空間が次々と現れる。
グレゴール・シュナイダーの《美術館の終焉¦12の道行き》では12のスポットで観客がそれぞれ、VRやパフォーマンス、彼のインスタレーションを体験することで通常とは異なる時間の流れを感じることになる。たとえば《消えた現実》は昭和43年に建設された〈旧兵庫県立健康生活科学研究所〉の内部をまるごと作品化するもの。観客は、今は使われていない感染症や食品などの検査室や研究室をさまよい歩く。《住居の暗部》はこちらも昨年、閉鎖された低所得労働者向け一時宿泊施設〈神戸市立兵庫荘〉が舞台だ。今も二段ベッドに競馬新聞や酒瓶が残る室内を黒一色に変える。その他にアメリカのグアンタナモ湾収容キャンプを再現した通路など、謎めいた空間が次々と現れる。
やなぎみわはステージトレーラーによる野外劇《日輪の翼》を上演。観客は台船に乗り、半海半陸の公演を見る仕掛けだ。普段は忘れられているような場に時空を超えた人間や空間が現れる。
『TRANS-神戸』
9月14日〜11月10日。シュナイダー作品は全作品鑑賞券1,500円、個別作品鑑賞券500円。開館時間・休館日・パフォーマンスの時間などはウェブを参照。●問合せ TEL 078 515 6034。
グレゴール・シュナイダー
1969年ドイツ出身。《家u r》シリーズなど、時空がねじれた非現実的な体験をさせるインスタレーションを手がける。