オピーのアトリエに潜入! 貴重なアートコレクションも。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

オピーのアトリエに潜入! 貴重なアートコレクションも。

『カーサ ブルータス』2019年8月号より

〈東京オペラシティ アートギャラリー〉で個展を開催中のジュリアン・オピー。展覧会準備に追われるロンドンのアトリエを直撃し、話を聞いてきました。貴重なアートコレクションも公開します!

素材や色見本、試作品などが山積みになったオピーの司令塔であるデスク。手前に見えるのは東京展の招待状のサンプル。奥の窓際には安藤広重の浮世絵画がうっすらと見える。
ロンドン、ショーディッチにあるジュリアン・オピーのスタジオ。1850年に建てられ製造業や倉庫に使われていたというレンガ造りの建物だ。メディアに顔出しはNGというオピーだが、「散らかっていますが、私以外はなんでも撮影していいですよ」と、意外なほどオープンだった。スタジオは4フロアにわたり、試作、制作中、完成作などが所狭しと置かれている。輪郭の太い人物画で知られるオピーだが、サイズ、素材、手法など、さまざまなタイプの作品の制作がここで行われている。1階ではアシスタントたちが黙々と作業を続けていた。
ベースはアルミニウムのシート。マスキングテープを使いながら丁寧に彩色している。
決められた配色に従って絵の具は手作業でミックスされ、空き瓶などに収められている。
ベースはアルミニウムのシート。マスキングテープを使いながら丁寧に彩色している。
決められた配色に従って絵の具は手作業でミックスされ、空き瓶などに収められている。
「同じような絵柄でもクオリティーの異なる仕上がりを探求しています。ここではアルミ板をレーザーでカットした輪郭ラインを別のアルミ板に接着し、上からペイントしているところです」。細く切ったマスキングテープを貼りながら筆で均一に塗っていくデリケートな手作業だ。輪郭ラインを凹形に見せたい場合は石材を使う。コンピュータ制御の電動工具でラインを溝状に彫り、それに上からペイントを施す。「古代エジプトの壁画やレリーフも基本的に同じ手法です。デジタル技術も使いますが、昔ながらのアナログな作業も多いですね」

その上の階では主にデジタル作品を扱う。シンプルな輪郭線がLEDや液晶ディスプレイを使うことで命を宿しているように動き出す。壁には日本のアニメのセル画が飾られていた。浮世絵やマンガに近いものが感じられることも、日本人にとってオピーの作品が親しみやすい理由かもしれない。

「初めて浮世絵を目にしたとき、フラットで線描的画法に自分との共通点を感じました。以来、浮世絵からは多くを学んできました。〈東京国立近代美術館〉には広重へのオマージュ《日本八景》という液晶作品を納めています。マンガも好きでセル画も集めています」