《大地の芸術祭2015》夏の里山でアートと遊び、食を味わう。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

《大地の芸術祭2015》夏の里山でアートと遊び、食を味わう。

2000年から3年おきに開かれている『大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2015』。第6回目になる今回はこれまでの作品約200点に、新作約180点が加わり、さらににぎやかに。アートを通じて里山と、その恵みであるおいしい食を堪能できるイベントの見どころを紹介します。

蔡國強《蓬莱山》
7月25日、開幕に先立って行われた蔡國強の火薬ドローイングの制作風景。
「大地の芸術祭」の舞台、越後妻有(えちごつまり)地域は東京23区ぐらいの広さ。内陸部なので夏は灼熱の暑さ、冬は3mもの積雪に閉ざされる。「妻有」の語源は「どんづまり」とも言われ、かつて中央から追いやられてしまった人々がやむなく根を下ろしたところでもある。

総合ディレクターの北川フラムがこの地にかかわるようになったのは1990年代半ばのこと。平成の大合併をにらみ、十日町市を中心に川西町、中里村、津南町、松代町、松之山町の6市町村(現十日町市と津南町)が共同で「越後妻有アートネックレス構想」をスタートさせた。そのメインとなる活動が2000年に始まった「大地の芸術祭」だ。

東京からだと約3時間、緑濃い里山が連なるこの地区は都心から距離的にも心理的にも遠く離れているように感じられる。が、ここを流れる信濃川の豊かな水によって得られた電力は送電線で東京まで送られ、山手線などを動かすのに使われているのだ。それを考えると車で半日かかるこの場所が急に身近に思えてくる。
蔡國強《蓬莱山》の火薬ドローイング。地元の子供たちが作った海の生き物などの型紙を置き、火薬を爆発させて描き出した。
「大地の芸術祭」のメイン会場の一つである「越後妻有里山現代美術館[キナーレ]」に出現した蔡國強の作品「蓬莱山」は、そんな中央と地方の複雑な関係性に呼応するかのような挑発的な作品だ。蓬莱山とは本来、仙人が住むという理想郷。木々が生い茂り、滝が流れるこの作品も小さな天国のようだ。

しかし周囲に吊るされた藁細工のオブジェ(地元の人の協力で作られた)はよく見ると戦艦や戦闘機の形をしている。蓬莱山の裏に回るとそこには表からは想像もつかない荒涼たる風景が広がる。水盤に浮かぶ小さな山は日本と隣国とが互いに領有を主張している島の象徴でもある。ユートピアと見えて、その裏にはデストピアが潜んでいるのだ。