リー・ウーファン、半世紀の創作に迫る回顧展。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

リー・ウーファン、半世紀の創作に迫る回顧展。

〈ポンピドゥーセンター・メス〉にて、日本とフランスに縁の深い韓国生まれの現代アーティスト、李 禹煥(リー・ウーファン)の回顧展「時に住まう」が開催中。

Dialogue, 2010 (c) Lee Ufan Courtesy the artist and kamel mennour, Paris
2010年、直島に安藤忠雄設計の〈李禹煥美術館〉が開館して話題を呼び、その後もNY〈グッゲンハイム美術館〉での回顧展、2014年のヴェルサイユ宮殿内外の特異な空間での特別展など、近年ますます国際的に高く評価されるアーティスト、李禹煥。
 
今回〈ポンピドゥセンター・メス〉では展示を屋内に徹底し、1960年代後半から今日までの絵画、彫刻、デッサン、環境(空間設計)と、様々な手段で作家が思考し続けた50年あまりの創作の軌跡を辿る。

「見るべきものは、あなたの目に見えていないもの」と作家は語り、本展のチーフキュレーターは「そこに身を置かなければ感じられないものを味わってほしい」と言う。最初の展示室は、白い壁に直接描かれた作品「Dialoque/対話」。左方から光を受けた物体が宙に浮かぶように目に映るそれは、”出現” と ”消滅”、境界が極めて曖昧な ”描かれた” 部分と ”描かれない” 部分を同時に表し、展示室の白い壁(=描かれない部分)に囲まれた閲覧者を一挙に作品の内部に取り込む。

日本のアートシーン「もの派」で活躍していた1972年から今日まで同タイトルで制作する「relatum/関係項」は、天然石や綿(自然)と鉄版やガラス(工業材)が対峙するシンプルで力強い空間作品群。他にも、簡潔な線や点、色使いで空間と時の表現を追求してきた絵画、デッサンなど、半生を通じて作家が取り組んできたミニマムにして壮大な作品世界を肌で感じたい。金属やガラスほか、数々の素材を元に坂本龍一が手がけた会場の音響も李 禹煥の世界を多次元に膨らませる。
(c) Photo Jean-Philippe Simard (c) Adagp, Paris, 2018
(金属軸の)障子で囲まれた476cm×406cmの空間「Relatum-Room (B)」の内部。2017年、トゥーレット修道院に制作。茶室を思わせる佇まい。
(c) Adagp, Paris, 2018
砂を敷き詰め、天然石を配置し、絵画を地面に露出させた空間作品「La Peinture ensevelie…, /埋もれた絵画…, 」2013年作品。
(c) Studio Lee Ufan Courtesy the artist and Kamel Mennour, Paris/London
(c) ADAGP Paris, 2018
子供の頃からカリグラフィーを通じて筆使いを学んだというアーティストが70年代から取り組む「From Point」「From Line」のシリーズより、1976年に制作した「From Point」。
(c) 2018. Digital image, The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence
(c) Adagp, Paris, 2018
筆描きのグラデーションが感じさせる〈出現〉と〈消滅〉「From Line」1974年。一連のシリーズ絵画を会す展示室で鑑賞することで、作家がかけた思考の時を追従する体験にも。
(c) Atelier Lee Ufan et tous droits réservés
箱根の谷川で石に彩色する李 禹煥。1998年。
(c) Photo Jean-Philippe Simard (c) Adagp, Paris, 2018 (金属軸の)障子で囲まれた476cm×406cmの空間「Relatum-Room (B)」の内部。2017年、トゥーレット修道院に制作。茶室を思わせる佇まい。
(c) Adagp, Paris, 2018 砂を敷き詰め、天然石を配置し、絵画を地面に露出させた空間作品「La Peinture ensevelie…, /埋もれた絵画…, 」2013年作品。
(c) Studio Lee Ufan Courtesy the artist and Kamel Mennour, Paris/London (c) ADAGP Paris, 2018 子供の頃からカリグラフィーを通じて筆使いを学んだというアーティストが70年代から取り組む「From Point」「From Line」のシリーズより、1976年に制作した「From Point」。
(c) 2018. Digital image, The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence (c) Adagp, Paris, 2018 筆描きのグラデーションが感じさせる〈出現〉と〈消滅〉「From Line」1974年。一連のシリーズ絵画を会す展示室で鑑賞することで、作家がかけた思考の時を追従する体験にも。
(c) Atelier Lee Ufan et tous droits réservés 箱根の谷川で石に彩色する李 禹煥。1998年。

『李 禹煥 時に住まう 展』

〈ポンピドゥーセンター・メス〉
1, parvis des Droits-de-l’Homme 57020 Metz。~9月30日。10時~18時(4月1日~:金・土・日~19時)。火曜・5月1日休み。入館料:7ユーロ~。