渡辺謙と伊東豊雄の“心の港”に触れる〈K-port〉へ | 行くぜ、東北。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

渡辺謙と伊東豊雄の“心の港”に触れる〈K-port〉へ | 行くぜ、東北。

人と人とをつなぐ場所を作りたい――。俳優・渡辺謙が、そんな強い思いを込めて手掛けたカフェ〈K-port〉。建築家・伊東豊雄が設計を担当したこの建物が、どんな経緯で作られることになったのかを紹介します。

さまざまな世代の人の集いの場となっている〈K-port〉。スタッフの中には、ボランティアで気仙沼を訪れ、この地に惹かれ、そのまま移り住んできた人もいるという。
自然光が差し込む大きな窓からは、定期船などが行き交う気仙沼港を間近に望む、絶好のロケーション。〈K-port〉は、特産である海産物を供する店が多い気仙沼市沿岸のなかでも、窯焼きピザなどイタリアンを中心としたカフェメニューが味わえる、数少ない1軒だ。

実はここ、俳優の渡辺謙がプロデュースした店。気仙沼は、東日本大震災で甚大な被害を受けたエリアのひとつ。かつてドキュメンタリー番組でこの地を訪れて以来、地元の人たちと交流を深めていた渡辺は、震災直後から気仙沼に足を運び、被災者たちと何度も話し合い、どうしたら人々の役に立てるのかを考えたという。そして出した結論が、“心の港(port)”をプレゼントすることだった。

〈K-port〉の“K”は、気仙沼の“K”であり、絆の“K”でもあり、渡辺謙の“K”でもある。ここに来ればみんなとつながることができて、心がほっと温まる。そんな場所になってほしいという、渡辺の思いが込められている。
〈K-port〉は、同じく伊東豊雄が設計した隣接の磯屋水産と屋根でひと続きになっており、漆黒の外観で統一されている。
設計を担当したのは、建築家の伊東豊雄。東日本大震災の被災地支援に積極的に取り組んできた伊東が、かねてより親交のあった渡辺の思いに共感し、手掛けることになったのだ。特徴的なのは、4面の屋根に対して、建物が五角形で構成されていること。その不規則な五角形の中に足を踏み入れると、建物全体に包みこまれるような居心地のよさが感じられる。ふと視線を上げると、天井には三角形のトップライトが。そこから注ぐやわらかな光は、まるで帰るべき場所へと導く灯台の灯りのようだ。
エッグベネディクト風のソースにソーセージやほうれん草、そしてトロ~リ卵をトッピングしたピッツァビスマルク1080円。ゆずハチミツサイダー450円。
ここの看板メニューは、焼成に最適な温度とされる500度の石窯で焼き上げるピザ。モチモチとした食感が食べ応えのある一皿だ。ピッツアには〈ケセンヌマ(マリナーラ)〉、〈ケープタウン(マルゲリータ)〉など、国内屈指のマグロ漁船基地・気仙沼港にちなんで、気仙沼の漁師が立ち寄る世界各国の港の名前がつけられている。また、デザートには、渡辺謙が撮影でヨーロッパに滞在していた時によく食べていたというワッフルを、K-port流に再現したものも。3枚のワッフルに、ホイップクリーム、アイス、メイプルシロップがトッピングされて、ボリュームたっぷりだ。

そんな料理を味わいに、そして人との会話を楽しみに、〈K-port〉には若い世代からお年寄りまで、様々な人が訪れる。単なるカフェではなく、人と人とをつなぐ場所として、気仙沼に着実に根づいているようだ。
店には毎朝、渡辺からFAXでメッセージが届く。東京はもとより、海外など仕事で各地を飛び回っている彼だが、遠くにいたとしても、心はつながっていることを感じさせる。
K-port

宮城県気仙沼市港町1-3
TEL 0226 25 9915。10時~19時(日曜9時~17時)。無休。公式サイト

アクセス

東京駅から東北新幹線で一ノ関駅まで約2時間〜2時間30分。JR大船渡線で気仙沼駅まで約1時間20分。車で約10分。 びゅう公式サイト:東北の宿と列車のきっぷを探そう!