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秋田の秘湯、大湯温泉〈阿部旅館〉へ|行くぜ、東北。
November 30, 2015 | Travel | sponsored | photo_Tetsuya Ito text_Kei Sasaki editor_Akio Mitomi
秋田屈指の景勝地・大噴湯で知られる小安峡(おやすきょう)。大湯温泉は、そこからさらに皆瀬川の上流へと進んだ奥小安と呼ばれる地にあります。開湯は文化年間(1810年頃)といわれる歴史ある秘湯。一軒宿の〈阿部旅館〉を訪ねました。
旅館や土産物店が立ち並ぶ小安峡温泉を抜けると、建物が途切れ、あたりがしんとした森の静けさに包まれる。栗駒山の西麓、皆瀬川最上流の山間に佇むのが大湯温泉〈阿部旅館〉。山の斜面に立つ木造2階建てのこぢんまりとした宿で、宿の下手に流れる大湯川沿いに離れの湯小屋が立ち、周りのあちこちから湯けむりが勢いよく噴き出すのが見える。
〈阿部旅館〉の創業は1970年代。それ以前は単に「大湯」と呼ばれ湯治場として親しまれていたという。「この辺りでは春になるとぜんまいをとって茹でて干すのですが、その作業を皆、ここに泊まり込んでやっていたとききます。前の道(国道398号線)を作るときも、そこで働く人たちが体を癒しに訪れたようですよ」と、女将の阿部恵美子さん。山と温泉が大好きでこの地に嫁いできたと話す女将が、ご主人の阿部司さんとともに宿を切り盛りしている。
到着したらまずひと風呂浴びて長旅の疲れを癒したい。毎分50リットル湧き出る湯は、98度の高温。加水していい塩梅にした湯が湯船を満たしている。宿と離れの湯小屋を結ぶのは、山の斜面沿いに作られた長い階段。日没後はランプの灯りが照らすこの階段もまた、秘湯の情緒たっぷりだ。露天風呂は、山間の一軒宿ならではの静けさと開放感が格別で、春は新緑、秋は紅葉、これからの季節は雪景色と四季ごとの眺めが素晴らしい。
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