ART
サザビーズが注目するアジアの現代アート。
March 25, 2015 | Art | text_Takahiro Tsuchida
この春、サザビーズ香港では現在のアートシーンを踏まえた2つの催しが行われる。3月の「具体」のエキシビションと4月の春季オークション。どちらも強力だ。
S|2 Exhibition
具体を代表する天才的な抽象画家、白髪一雄は1924年尼崎生まれ。天井から吊るしたロープを持ちながら足を使って描く作品で知られる。これは63年のアトリエでの制作風景。写真提供／尼崎市総合文化センター。
ここ数年、世界的に注目を集める日本美術のムーブメントに「具体」がある。2012年以降、ニューヨークのMoMAによる『トーキョー 1955-1970』展が具体の作家をフィーチャーすると、グッゲンハイム美術館はその名も『GUTAI：スプレンディッド・プレイグラウンド』展を開催。当初から海外で評価される存在ではあったが、あらためてその意義が見直されている。
では、具体とは何だったのか。大阪出身の実業家であり芸術家、吉原治良が中心となり1954年に結成された具体美術協会の活動が、具体というムーブメントそのものと言っていい。この会に集った新進アーティストたちは、モダンアートの観念を超える前衛的な表現やパフォーマンスを展開。斬新な手法を用いたエネルギーあふれる抽象画も人気を博す。
72年の吉原の死去を機に協会は解散し、具体としての活動は終結したが、彼らが切り開いた新しい方法論には社会を巻き込む力があった。そのインパクトは現代のアートにも劣らない。
では、具体とは何だったのか。大阪出身の実業家であり芸術家、吉原治良が中心となり1954年に結成された具体美術協会の活動が、具体というムーブメントそのものと言っていい。この会に集った新進アーティストたちは、モダンアートの観念を超える前衛的な表現やパフォーマンスを展開。斬新な手法を用いたエネルギーあふれる抽象画も人気を博す。
72年の吉原の死去を機に協会は解散し、具体としての活動は終結したが、彼らが切り開いた新しい方法論には社会を巻き込む力があった。そのインパクトは現代のアートにも劣らない。
白髪一雄《紫仙》。力強く気迫に満ちた白髪らしい作品。
田中敦子《97D》。田中は1932年生まれで京都市立美術大学（現・京都市立芸術大学）などで学び、白髪や元永らとともに具体美術協会の初期から参加して幅広い作品を残した。
元永定正《無題》。1922年三重県生まれの元永は、原色が印象的な作品を多く手がけた。
アヴァンギャルド・アジア
サザビーズ香港の〈S｜2 ギャラリー〉では『アヴァンギャルド・アジア：具体とその遺産』展を開催。香港で過去最大の具体の展覧会で、展示品は販売される。〈サザビーズ香港ギャラリー〉5/F, One Pacific Place, 88 Queensway, Hong Kong TEL 852 2822 5566。3月13日〜27日。入場無料。
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