VEHICLE
Chill CARS|機能から生まれたカタチが潔い、北欧の名作。
August 17, 2017 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
1953年の《PV445デュエット》以来、〈ボルボ〉はステーションワゴンを最も得意とすることを自他ともに認めてきた。なかでも最大のヒットは《240》ステーションワゴン。74年から93年まで生産されたロングセラーであり、自動車史上、最も有名なステーションワゴンだ。
1953年の《PV445デュエット》以来、〈ボルボ〉はステーションワゴンを最も得意とすることを自他ともに認めてきた。なかでも最大のヒットは《240》ステーションワゴン。74年から93年まで生産されたロングセラーであり、自動車史上、最も有名なステーションワゴンだ。
〈ボルボ〉のワゴンからは、素材感を生かし、機能を考え、華美な装飾を排した北欧家具を連想する。実際〈ボルボ〉は自社の製品史でブルーノ・マットソンらの家具との関連性に言及している。
「スウェーデンの製品は実用性で知られています」と同資料にあり、「実質的な内容のないグッドデザインなどありえません」と続く。
確かに《240》は美と機能を併せ持つ。荷物を運ぶというワゴンの機能から生まれた、四角い箱を2つくっつけたようなシンプルなフォルムには、各部に微妙な丸みを持たせて人間味を醸し出している。一方で車輪と車体のバランスが躍動感を生んでおり、サイドウィンドウ下のボディ面に膨らみをもたせているため、力強い印象も受ける。そうした細部の仕上げによって、シンプルなだけに終始していない。
分厚いドア、シースルーヘッドレスト、手袋でも操作できるスイッチ類などに、乗員を守るという、人間中心の北欧らしい思想性を強く感じさせるのも特徴だ。
アウトドアギアなどの機能的な良品を連想させる潔いシンプルさが今、かえって魅力的だ。
〈ボルボ〉のワゴンからは、素材感を生かし、機能を考え、華美な装飾を排した北欧家具を連想する。実際〈ボルボ〉は自社の製品史でブルーノ・マットソンらの家具との関連性に言及している。
「スウェーデンの製品は実用性で知られています」と同資料にあり、「実質的な内容のないグッドデザインなどありえません」と続く。
確かに《240》は美と機能を併せ持つ。荷物を運ぶというワゴンの機能から生まれた、四角い箱を2つくっつけたようなシンプルなフォルムには、各部に微妙な丸みを持たせて人間味を醸し出している。一方で車輪と車体のバランスが躍動感を生んでおり、サイドウィンドウ下のボディ面に膨らみをもたせているため、力強い印象も受ける。そうした細部の仕上げによって、シンプルなだけに終始していない。
分厚いドア、シースルーヘッドレスト、手袋でも操作できるスイッチ類などに、乗員を守るという、人間中心の北欧らしい思想性を強く感じさせるのも特徴だ。
アウトドアギアなどの機能的な良品を連想させる潔いシンプルさが今、かえって魅力的だ。