夜の帷が下りると、どんな会社かが見えてくる。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

夜の帷が下りると、どんな会社かが見えてくる。

越谷市内の道路沿い。日中はメタリックな壁にガラス張りなのが、暗くなると様相一転。木を大切にする企業理念の「現し」である。おなじみカングーもマイナーチェンジで欧州実用車の金字塔に近づいた。

木であれば時を経て色も変わる。現在竣工約2年半、もっと飴色っぽくなっていくのも楽しみだ。
木造住宅の設計・施工や建築用のプレセット木材を扱う会社の社屋である。夜間照明で浮かび上がる巨大看板よりさらに強力な、地域に向けてのコミュニケーションということだろう。

館内は太い柱や梁のすべてが木質でなかなかの迫力だし、強い木の香は森のよう。本格的なオフィスビルで、1〜2階が吹き抜けの大空間が木質メインというのは相当に印象が強い。こんな大病院やホテルのロビーがあって当然という気もするし、ショッピングモールなどでも似合いそうだ。

とはいえ無理やり木材を使っているわけではない。本来の構造材は鉄骨でそれを木で覆っているのだ。鉄骨は火事で一定以上の高温が続くと溶けるので、ビルが倒壊してしまう危険性がある。分厚い木は最初は焦げるがなかなか中まで火が回らない。だから鉄骨と木材のハイブリッドな構造材にすれば火事に強くなる。この太い柱はただ鉄骨に化粧板を施したものではなく、6cmもの板厚の木材でほぼ密封した形をとっている。手間も金も当然かかるが価値ある工法だと思った。しかも使っているのは国産材だと言うではないか。

つい先ごろルノー・カングーのマイナーチェンジがあった。ダウンサイジングの1・2リッター・エンジンを採用し6速MTと組み合わせたモデルが出たのだが、これがすこぶる良い味のクルマに仕上がった。オーガニックな素材をふんだんに取り入れたこの建物には、カングーのちょっと土の香のする素朴さがお似合いだ。

エンジンは滑らかに気持ちよく回り、走行中も驚くほど静か。MTはシフトフィールが良く、クラッチも洗練されている。ステアリングは軽く繊細な感触で、足回りは柔らかく軽やか、かつ動きはとても明快だ。曲がれば当然ボディロールはするが、節度がよく効いた絶妙な乗り味のクルマになっている。ルノーの職人技、恐るべし。

これに乗ればクルマの本質とは何かが体感できる。初心者ならば正しい運転操作を身につけ、ドライブの楽しさ、クルマの深さを感じ取るのに最良の1台となるだろう。今回の取材行は、うーむと唸り、にんまりと頬ゆるます、幸せの連鎖となった。
いわゆるワンボックスボディではなくとも、これだけ居住性の高さと収納力があれば文句はない。
シートが快適なのも乗り味に貢献。
ルーテシア、キャプチャーと同系のフロントマスク。前の顔と比べるとこちらのほうが引き締まってやや細身に見える。
外光による開放感と木の重厚さの調和。

巡礼車:ルノー・カングー ZEN

今回乗ったモデルのほかに、従来の1.6リッターNAエンジンの4AT版と5MT版があ
る。国内のカングー・オーナーが一堂に会するイベント『カングー・ジャンボリー』には今年1,500台、3,000人以上が参加したという。熱心なファンの多いのは良いクルマ。2,415,000円(ルノー・コール TEL 0120 676 365)。公式サイト

巡礼地:ウッドスクェア

設計/ジェイアール東日本建築設計事務所、ポラテック(株)ポウハウス一級建築士事務所。1~2階はショールームで高さ8.4mの吹き抜け空間。住宅関連の展示はもちろん、この場そのものが木質ハイブリッド集成材のリアルなプレゼンになっている。3〜4階はオフィス。●埼玉県越谷市七左町2-7 TEL 048 961 3111(ポラテック株式会社)。