VEHICLE
とってもDRIVENな施主と藤森建築と往年の名車たち。
June 19, 2014 | Vehicle, Architecture | Driven By Design | text: Hiroki Iijima photo: Tatsuya Mine
地元の藤森作品に魅せられ直談判して自宅+クルマのショールームの設計を依頼、見事に実現した〈はま松ハウス〉。今回は施主のご要望により超弩級のアストンマーティンを走らせた。
施主の竹内智久さんは、 内外の60〜70年代を中心とした名車を扱う〈ガレージタケウチ〉の経営者。 同時に、地元浜松の〈秋野不矩美術館〉や掛川の〈ねむの木こども美術館〉を見るうち建築家・藤森照信の大ファンになってしまった人でもある。名建築 + 個性的なクルマ、がテーマのこの連載にはまさに完全一致の人。クルマのリクエストをお願いすると、いきなり「アストンマーティン・バンキッシュ」と言われて一瞬ひるみそうになったけれども。
まずは誰もが気になる、建築家とのそもそものご縁はと問えば、「何のつながりも紹介もありませんでした。自分の家を建てるのならぜひともこの人にお願いしたいと手紙を出したのが始まりです」 と。なんか、いい話。
では一度会いましょうということになり当時の勤務先の東大を訪 ね、建築家も「1年後の約束」どおりこの土地を見に来て、主にはショールームについての打ち合わせをして、後は待つこと数年、2012年に竣工した。工事中、大工さんとともにお弟子や学生たちを動員して作業をしていく中で「ただ指示するだけじゃなく藤森さんもご自分で何かをゴリゴリ削り始めたりして、どんどん動きながら進めるのを見て驚きました」。施主自身が手仕事を生業とするだけに、特別な感慨があったものと思われる。
さてアストンマーティンは、というと 。ノーマルモードではリラックスして巡航ができるが、適度な緊張感が途切れずに続いて、ああこういうのが世界中の殿様が支持する乗り味なのかと思う。ステアリングには赤いSマークのボタン、これを一押しすれば、まずエンジン音が一変、すさまじい咆哮が轟き、サスは強化しステアリングも重くなってボディ全体がファイティングポーズを取る。踏み込めば軽々と7000回転を超えるまで吹け上がり、もはやいい加減な運転操作など金輪際不可であるとクルマが宣言してくる。
「間近で見ると、すごいオーラがありますね」と竹内さんも感心していたが、このクルマに乗ることは実にそのオーラをまとい、走らせ、曲がらせ、止まらせる、ということだった。
まずは誰もが気になる、建築家とのそもそものご縁はと問えば、「何のつながりも紹介もありませんでした。自分の家を建てるのならぜひともこの人にお願いしたいと手紙を出したのが始まりです」 と。なんか、いい話。
では一度会いましょうということになり当時の勤務先の東大を訪 ね、建築家も「1年後の約束」どおりこの土地を見に来て、主にはショールームについての打ち合わせをして、後は待つこと数年、2012年に竣工した。工事中、大工さんとともにお弟子や学生たちを動員して作業をしていく中で「ただ指示するだけじゃなく藤森さんもご自分で何かをゴリゴリ削り始めたりして、どんどん動きながら進めるのを見て驚きました」。施主自身が手仕事を生業とするだけに、特別な感慨があったものと思われる。
さてアストンマーティンは、というと 。ノーマルモードではリラックスして巡航ができるが、適度な緊張感が途切れずに続いて、ああこういうのが世界中の殿様が支持する乗り味なのかと思う。ステアリングには赤いSマークのボタン、これを一押しすれば、まずエンジン音が一変、すさまじい咆哮が轟き、サスは強化しステアリングも重くなってボディ全体がファイティングポーズを取る。踏み込めば軽々と7000回転を超えるまで吹け上がり、もはやいい加減な運転操作など金輪際不可であるとクルマが宣言してくる。
「間近で見ると、すごいオーラがありますね」と竹内さんも感心していたが、このクルマに乗ることは実にそのオーラをまとい、走らせ、曲がらせ、止まらせる、ということだった。
巡礼車:アストンマーティン・ バンキッシュ・ボランテ
フロントミッドに搭載の6リッターV12エンジンは573馬力/620Nm。アルミフレームとカーボンパネルという目まいがしそうな贅沢ボディだ。エンジンスタートの音はほとんどF1のそれのようで、いきなり別世界に持っていかれる感じが実に甘美。34,727,400円(アストンマーティン・アジア・パシフィック TEL 03 4360 9243)。
巡礼地:はま松ハウス
設計/藤森照信+大嶋信道(大嶋アトリエ)。おなじみ焼き杉の壁、手で曲げた銅板葺きの屋根には植物の植え込みと藤森ワールドはここでも快調。最初の出会いから竣工までは約5年ほど要したが、当初のプランのスケッチとほぼ変わらなかったそうだ。 ● 静岡県浜松市浜北区(ガレージタケウチshop http://www.g-takeuchi.co.jp)。