作って、食べて、くつろげる建築家 永山祐子の 暮らしの質を高めるキッチン&テーブルウェア

photo : Satoshi Nagare text : Keiko Kusano
movie : Shinji Furuya, Itsuki Miyamoto 
food cooperation : Mika Ninomiya

毎日必ず使うキッチンに、そこにあるだけで絵になるキッチン&テーブルウェアが揃えば、きっと心地よく過ごせるはず。そんな理想のキッチンについて建築家・永山祐子さんと一緒に考えながら〈WMF(ヴェーエムエフ)〉のお鍋の新シリーズ《Function 4》を使ってみました。

建築家 永山祐子さんが語るキッチン&テーブルウェア

端正な建築を
感じさせる、
高いデザイン性

1853年にドイツで創業した〈WMF(ヴェーエムエフ)〉。当初から優れた金属加工技術を活かした食器や調理用具で注目されていたが、バウハウスのデザイン思想に深く共鳴し、通常の製品群に加えて著名なデザイナーや建築家を招いた特別コレクションを展開するように。こうした長い歴史の中で数々の名作キッチン&テーブルウェアを世に送り出してきた〈WMF〉は、ドイツNo.1ブランドとして揺るぎないステイタスを誇る。

自身の建築設計事務所を切り盛りするかたわら、6歳と4歳のお子さんを持つ母として多忙な日々を送る永山祐子さん。建築家らしい審美眼で吟味した、お気に入りの器やお皿、キッチンツールが揃った環境の中にいられるのが何よりも幸せだという。

「“使うたびに気分が上がるもの”という基準で、美しいデザインのキッチンツールをたくさん揃えています。そうやって自分を盛り上げることでお料理をするのが好きになっていきました」

そんな彼女の手元に〈WMF〉の新作シリーズ《Function 4》が届いた。《Function 4》は、その名の通り4つの機能が1つの鍋に備わった優れもの。シリコーン製のパッキンに密閉、湯切り、水切り、注ぎ口としての機能を持たせることで、蓋をいちいち開けずに料理を進行することができる。蓋に表示されたシンプルなアイコンで、各機能は一目瞭然。クロマーガンと呼ばれる〈WMF〉独自の高品質なステンレススチール(クロムの含有量が多いステンレス)を使うことで、同ブランドならではの美しい輝きを放つ。外側は鏡面、内側はヘアライン加工という仕上げの違いも、デザインと機能の絶妙なバランスによるものだ。

※1 キッチン用品:調理器具・皿・テーブルウェア・カトラリー・ドリンクウェア・その他キッチン用品含む。中古・アンティーク品を除く。 ※2 ユーロモニターインターナショナル調べ 2016年ドイツにおけるキッチン用品部門、小売販売額 (2017年度版)

〈WMF〉の新作シリーズ《Function 4》の《ハイキャセロール》を手に取った永山さんに、第一印象を聞いてみた。

「デザインが可愛い上に、堅牢さも感じさせます。ステンレスの重厚な感じが〈WMF〉らしいなと思いました。最初は不思議な形の蓋だなと感じましたが、いろいろな機能がついているということを知って、なるほど、と。蓋の上部にあるアイコンは、実用的でありながらスマートでドイツらしいですね」

永山さんが〈WMF〉と初めて出会ったのは、ドイツ旅行中に偶然立ち寄ったブランドショップ。ちょっと変わったデザインの泡立て器、丸い玉が先端についた《ボウルウィスク》が目に止まった。

「見たこともない形が面白いと思って、デザイン重視で買ったんです。元々あるような道具も、もう一度イチからデザインし直されているというところがすごいなと思いました。キッチンに出しっぱなしにしておいても絵になるので、モノ選びの重要性にも気づきましたね」

永山さんには、住宅の設計をする際好むキッチンのスタイルがある。キッチンには「水」と「火」の2つの機能が必要だが、彼女は壁際にコンロを配置し、水回りを手前のテーブル寄りに離して配置することが多い。火を使う時は壁に向かって集中し、洗い物をするときには家族みんなでシンクを使いながら会話を楽しむような空間に。2つの機能を明確に分けることで家族のキッチンの過ごし方に変化が生まれ、空間にも広がりがもたらされる。デザインと機能、そのバランスは建築でもプロダクトでも同じことが言えるだろう。

DESIGN WORKS 永山祐子の作品

  • 01 自由が丘 オルソ
    スープストックトーキョー
    自由が丘の中心地に立つ、ガラス張りの箱のようなレストラン。1階は土間のような空間で街と密接につながり、吹き抜けの開放的な空間から階段で上がると隠れ家的なテラスへとつながっていく。内と外の垣根を超える建築だ。
  • 02 西麻布の家
    敷地を2分割し、右側を寝室、水回り、収納といったプライベートな空間のあるRCの箱に、左側をキッチン、ダイニング、リビング、書斎などパブリックな空間のある鉄骨造のガラスの箱とした、美しい佇まいの住宅。
  • 03 勝田台の家
    1階にパティスリーと厨房、2階、3階に住居を設けた店舗兼住宅。プライベートと働く空間を切り分けるために店舗とその上の住居をそれぞれ独立した存在にしてあるため、1階正面から見ると住居がまるで浮いているように見える。