「いつもデザインのいいものに触れていたいんです」と話す木村ユタカさんは、世界中で長く愛されてきたヴィンテージ家具やオリジナル家具を扱う店〈コンプレックス ユニバーサルファニチャーサービス〉のオーナーだ。
そんなデザインの目利きが自宅キッチンで使っているのは、ドイツの家電ブランド〈ミーレ〉の電気オーブン。この日、自宅に友人を招き、ラフでおいしい男のオーブン料理に腕をふるった木村さんに、日常を彩るグッドデザインと日々の料理について聞いてみた。
photo_Satoshi Nagare text_Masae Wako
「家の主役は家具やインテリア。その背景となる空間は“シンプルな箱”がいい」と話す木村さんは、築35年のヴィンテージ住宅に暮らしている。日々愛用しているのは、例えば北欧やアメリカで1950~60年代につくられた椅子やチェスト。「細部まで手をかけた丁寧なつくりや素材のよさに惹かれます」。
また、木村さんが代表を務める〈コンプレックス〉では、古い家具の美しさを生かしながら使い勝手やサイズに手を加えた“モダンヴィンテージ”なオリジナル家具もつくっている。「長く愛されてきたデザインや職人技を、次の時代に繋げていきたいんです」。
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木村邸のリビング。1958年にデザインされたアルネ・ヤコブセンの名作「エッグチェア」。かつて日本の職人が革を貼っていた頃のものを、大切に手入れしながら使っている。
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玄関に置いたチェストは、1950年代ごろのデンマーク製。脚はフランスのアンティーク。木村さんのアイディアで組み合わせた。壁には染色家・柚木沙弥郎のリトグラフ。
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書斎には〈COMPLEX UNIVERSAL FURNITURE SUPPLY〉オリジナルの本棚。シンプルな空間に美しくなじむ壁付け家具が欲しくて、木村さんがデザインした。
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右は、木村さんがいちばん好きな家具、アメリカ〈ダンバー〉社のアームチェア。「大量生産ではつくり得ない職人技や素材の美しさが、細部にまで宿っています」。
「キッチン空間もシンプルにしておきたいので、日常的に使う家電はビルトインされているのが理想的です」と木村さんが言うとおり、カウンターの下には〈ミーレ〉のビルトイン電気オーブンがすっきりと納まっている。ミーレは1899年創業のドイツブランド。長く愛され続けるタイムレスなデザインが特徴だ。
「毎日使うものほど手触りや細部のデザインが気になるものですが、ミーレのオーブンには上質な素材が使われているし、ディテールも考え抜かれていますよね。シンプルなデザインだからこそ、その美しさが際立ちます」(木村さん)
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木村家のシンプルなL字型キッチンには、〈ミーレ〉の電気オーブンがビルトインされている。調理以外に、鍋料理の温め直しなど日常的に使えるのが魅力。
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シンプルなキッチンに調和するオーブンは《H 6260 B》。ミーレの製品は、20年使用されることを前提にデザインされ、修理などのための部品も生産終了後15年確保されている。
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「ハンドルのアールの角度など、細部まで考え抜かれたデザインですね」と木村さん。「ステンレスも最上級のものを使ってると思う。長く愛せる素材使いに共感します」
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右はあらかじめ調理した鮭をフライパンごとオーブンに入れる「鮭のネギ味噌焼き」。左は「春キャベツの丸ごと焼き」。二つの料理を同時に調理できるのも大容量のオーブンならでは。
「火力が強くて焼きムラがないし、庫内が大きくて使いやすいんです」と話すのは料理好きの奥様。「私がキッチンに立つとウチの犬が必ず足元に寄ってくるのですが、ミーレのオーブンは調理中もガラスが熱くならないので安心です」
いっぽう木村さんは、「ウチは来客も多いので、たまには男の料理でもてなしてみたい。オーブンなら失敗なくできそう」と、東京・三軒茶屋のフレンチレストラン〈ジェネラルストア ミカワヤ〉の木村亮一さんを招き、料理を教わることにした。
メニューはまるごとの鶏を使ったローストチキンとスキレットで焼く冬野菜のグリル。「チキンと野菜を時間差でオーブンに入れて、一度に焼いちゃいましょう」と木村シェフ。
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木村さんが教わったのは、鍋ごとオーブンに入れてじっくり焼き上げるローストチキン。「下準備と温度設定だけすれば、後はオーブンにおまかせできる。プロの料理でもオーブンならラクなんですね」
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木村家の愛犬、ジャックラッセルテリアのクー。木村さん夫婦がキッチンに立つとすぐに寄ってくる。ミーレの電気オーブンは周囲やガラスが熱くならないので安心。
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オーブン料理を教わったのは、〈ジェネラルストア ミカワヤ〉の木村亮一シェフ。「温度が安定しているし、火が均一に入るのが秀逸。プロ仕様のクオリティですが、低温設定で料理を温め直したり、小鍋でご飯を炊いたり、ラフに使えるのもいいですね」
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〈ジェネラルストア ミカワヤ〉の木村さんが作った「和栗とマロンのテリーヌ」。生クリーム、マロンペースト、卵、砂糖、粉、バターで作ったタネを型に入れ、和栗を並べてオーブンで1時間。しっとりした上品な舌触り。
「あらかじめ鍋やフライパンで調理した魚や野菜を、そのままオーブンに入れてグリルするのも好き。結構ラフに使っています」と奥様が話すように、気負わず楽しく使えるのがオーブン料理のいいところ。パーフェクトクリーン仕上げがされていて庫内やトレイの掃除がラクな点も気に入っている。
シェフの木村さんも「ウチの店では小鍋にお米を入れてオーブンでご飯を炊いてるんですよ。実は和食もおいしくできるんです」。オーブンでの調理は360度から火が入るので、魚などがふっくら焼ける。汁物も煮汁が対流しないため煮崩れしにくく、素材の色もきれいなまま。「こんなオーブンがあれば毎日の料理が楽しくなりますね。」(木村シェフ)。
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ホイルに包んでオーブンで焼いた「春キャベツの丸ごと焼き」。巻きがゆるい柔らかな春キャベツを使った一品は、料理家の長尾智子さんのレシピ。熱々ほくほくに焼けたところを切り分けて、粉チーズと塩とオリーブオイルをたっぷりかけて食べる。キャベツの青っぽい香りが口じゅうに広がって、幸せ。
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木村シェフに教わりつつ、二人で作った鶏の丸焼き。お腹の中に下味をすり込み、ローズマリーなどのハーブを詰めた鶏肉を鋳物の鍋に入れ、オーブン(庫内に天板を足して二段にしておく)の下段に入れて220℃で1時間20分。
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スキレットに冬野菜を並べてオリーブオイルと塩少しを振りかけた焼き野菜と、白ワインやおろしニンニクを入れたウォッシュチーズ。鶏肉が焼き上がる20分前になったら、オーブンの上段に野菜を入れる、さらに5分後、チーズも入れる。3品同時に完成。
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「焼くだけでもこんなにおいしいんだから、オーブンってすごい」と言う木村さんに、プロの料理人からひとこと。「ミーレがある家は幸せですよ!」
「普段より手の込んだレシピでしたが、思ったより簡単に、しかもとてもおいしくできたので、オーブンの力ってすごいなと思いました」と話す木村さんが、今回、改めて実感したのはデザインのよさ。
「シンプルなデザインほどディテールが大切。それは家具も家電も同じです。素材を吟味し、フォルムをつきつめて初めて、長く愛されるものができるんだと思います。ミーレのオーブンは、おそらく最上級のステンレスを使い、細部の美しさに気を配っている。そういうものづくりにとても共感します。毎日使うものだからこそ、本質的な美しさが生きてくるんですよね」
オーブン/電子レンジ機能付きオーブン
2020年12月、最新調理機器シリーズ《Generation 7000》のオーブンと電子レンジ機能付きオーブンが発売。温度調節や時間をタッチパネルで操作できる「M Touch」や、調理後の庫内温度を自動調節できる「TasteControl(テイストコントロール)」など、便利な機能を搭載。専用アプリでスマホでも操作ができる「WiFiConn@ct」搭載で、庫内に設置されたカメラの映像をスマホでチェックできる「FoodView(フードビュー)」機能を使えば、外出先でも調理状態が確認できる。オーブン料理がますます楽しくなること間違いなし。2021年にはコンビスチームオーブンも発売予定。
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タイムレスなデザイン。 上質なステンレスを使った「PureLine」や高級感あふれる「VitroLine」(写真)など、タイムレスでシンプルなデザインラインが揃う。
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庫内の映像をスマホで確認。 庫内の内蔵カメラからスマホへ、1分ごとの映像を送信。オーブンから離れた場所にいても焼き具合を確認できる。調理温度や設定もモバイルアプリで操作可能。(H 7860 BP モデル)
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操作がラクなタッチパネル。 調理時間や温度設定など、あらゆる操作を指一本でコントロールできる、フルタッチディスプレイを搭載。(M Touch)
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調理終了後も温度コントロール。 調理終了後はドアがわずかに開き、余熱で調理が進みすぎないように庫内温度を冷却。設定温度になるとドアが閉じ、庫内温度や湿度を保つこともできる。
PROFILE
1950~60年代のヴィンテージ家具や、古い家具をリモデルしたオリジナル家具を扱う家具ショップ〈コンプレックスファニチャーサプライ〉のオーナー。木村さん自身も海外での買い付けや家具デザインを手がけている。