SPECIAL JAPANESE MODERN ARCHITECTURE 55
佐賀
049 市村記念体育館
Ichimura Memorial Gymnasium (1963)

1963年竣工。設計:坂倉準三。佐賀城公園内にある体育館。バスケットボールのコート2面を取れる広さの競技フロアと820席のスタンドを擁する。佐賀県出身のリコー三愛グループ創業者・市村清の寄贈により、佐賀県体育館として建てられた。現在は市村記念体育館と改称。構造はジグザグ状の折板で壁をつくり、それに鞍形のHPシェル(双曲放物面シェル)と呼ばれる曲面の吊り屋根を組み合わせたもの。中に入ると、東西方向には凸形、南北方向には凹形に曲がった屋根の形がよくわかる。説明を聞くとややこしいが、設計の考え方はシンプルで明快。それが外観にもストレートに表れている。面白いのは東西両端に斜めに突き出た梁で、これが屋根に降った雨水を落とす樋にもなっている。その下部には大きな円形の枡がある。