SPECIAL JAPANESE MODERN ARCHITECTURE 55
神奈川
020 神奈川県立近代美術館 鎌倉
The Museum of Modern Art,Kamakura (1951)

1951年竣工。設計:坂倉準三。日本初の公立近代美術館として開館。鶴岡八幡宮の敷地内に、平家池に面して建つ。参道の裏側にある正門から階段を上って2階へ入り、ロ形の展示室を抜けて、階段を下りると建物中央にあるピロティへと辿り着く。内部と外部が知らぬ間にシンクロする空間体験は、桂離宮の古書院に着想を得たもの。ピロティを支える細く繊細な鉄骨や、池の水面が1階テラスの天井に反射する様子など、モダニズムの表現の中に日本建築の感性も顔を覗かせる。鉄骨造だが、工業用ボードなどを使うことによって予算削減にも成功。1966年には坂倉の設計で本館東側に新館が誕生し、師であるル・コルビュジエが唱えた「無限成長美術館」を具現化させた。鶴岡八幡宮の定期借地権が切れ、2016年1月末閉館。