SPECIAL JAPANESE MODERN ARCHITECTURE 55
東京
012 国立代々木競技場 (旧屋内総合競技場)
Yoyogi National Stadium (1964)

1964年竣工。設計:丹下健三。1964年に開催された東京オリンピックのサブ会場として建設された大複合施設。競泳競技のための第一体育館(現在は体育館・イベントアリーナ)、バスケットボール競技のための第二体育館、その間に置かれた室内プールを備える付属棟で構成される。構造設計は坪井善勝。第一体育館は、2本の脚柱とそれを結ぶように吊り橋のようなメインケーブルが架けられ、その中心軸に対して三日月形の観客席がずれて配置されるという複雑な構造になっている。吊り屋根構造の体育館としてはエーロ・サーリネンの〈イェール大学アイスホッケー場〉(1958)が先にあるが、まったく新しい平面や断面計画を考案し、吊り屋根構造の可能性を広げた。ダイナミックで芸術的なシルエットは、戦後高度成長期の日本を象徴する都市の記念碑だ。