SPECIAL JAPANESE MODERN ARCHITECTURE 55
山形
003 寒河江市庁舎
Sagae City Hall (1967)

1967年竣工。設計:黒川紀章。正方形の3階〜5階部が宙に浮いたように見えるシンボリックな市庁舎。半地下になった1階に基壇をつくり、その上に鉄筋コンクリート造のコアシャフトを4本載せ、3階以上を支えている。コアには階段や化粧室などの水回りを集約。中央は吹き抜けで、コアから外へとせり出した居室部分は、一切の柱がない口形の空間になっている。通常ならば最上階に置く議会室を1階とした珍しい空間構成で、市民の暮らしを議会が支えるという関係を空間のヒエラルキーで表現。吹き抜けの市民ホールを照らす岡本太郎の吊り照明《誕生》や、議会やロビーに置かれた天童木工の家具も見どころ。改装工事によって2階の大屋根下に新スペースが増築されている。メタボリズムへの芽吹きが感じられる、黒川紀章の初期代表作。