ART
無名のまま世を去った日本画家・田中一村。千葉市美術館の収蔵全作品を一挙公開!
December 17, 2020 | Art | casabrutus.com | text_Akiko Miyaura editor_Keiko Kusano
幼少期から画才を発揮し、生涯、独特の世界を持つ日本画を描き続けた田中一村。〈千葉市美術館〉に収蔵されている、100点以上もの作品が一堂に展示される『田中一村展-千葉市美術館収蔵全作品』が、同美術館にて2021年1月5日からはじまります。
1908年、彫刻家の父のもとに生まれ、幼いころから類まれな画才を見せた田中一村。美術学校に入学するもわずか2カ月で中退し、その後はひとり画の道を究めた、孤高の画家でもある。30代に千葉に移住してからは、農村風景や動物、植物などの写生に明け暮れたという。
50代になった一村は、奄美大島へ移住。亜熱帯の花鳥や風土を題材に作品を制作。大島紬の染色工として働いては、蓄えができたら絵を描くという生活を繰り返しながら、唯一無二の世界観を作っていった。
生前、一度だけ『白い花』という作品で画壇デビューを果たしたが、以降は作品を展示などで公表する機会もなく、1977年、無名のままひっそりと生涯を終えた。没後、その独特な世界観を持った一村の画は、テレビの美術番組の紹介がきっかけで、全国に知られることとなる。
生前、一度だけ『白い花』という作品で画壇デビューを果たしたが、以降は作品を展示などで公表する機会もなく、1977年、無名のままひっそりと生涯を終えた。没後、その独特な世界観を持った一村の画は、テレビの美術番組の紹介がきっかけで、全国に知られることとなる。
2010年に千葉市美術館などで開催された『田中一村 新たなる全貌』展では、作品の基礎に立ち返り、一村の新たな全体像を示した。大きな反響を集めた、同展覧会から10年。千葉市美術館では、この間に寄託を含め100点以上もの作品を収蔵。一村の最大の支援者であった川村家より、作品・資料の寄贈等も受けた。
今回の『田中一村展-千葉市美術館収蔵全作品』では、初めてその収蔵作品すべてを展示する。まだ見ぬ一村の生涯の側面が見える、貴重な展覧会になりそうだ。
今回の『田中一村展-千葉市美術館収蔵全作品』では、初めてその収蔵作品すべてを展示する。まだ見ぬ一村の生涯の側面が見える、貴重な展覧会になりそうだ。
『田中一村展-千葉市美術館収蔵全作品』
〈千葉市美術館〉
千葉県千葉市中央区中央3-10-8。TEL 043 221 2311。2021年1月5日~2月28日。10時~18時。※1月8日から緊急事態宣言発出の1月末日までの期間中、金曜・土曜の夜間(18時〜20時)の開館を中止。1月18日、2月1日休。一般600円。なお、1月30日14時(13時30分開場予定)からは、同美術館11階講堂にて松尾知子(千葉市美術館上席学芸員)による講座「田中一村の魅力をさぐる~あれから10年、物語と作品の現在~」を開講。当日12時より、1階〈さや堂ホール〉にて先着80名に整理券配布予定。詳細は公式サイトで確認を。