FOOD
小寺慶子のレストラン予報|京橋〈伊勢廣京橋本店〉
『カーサ ブルータス』2020年12月号より
November 12, 2020 | Food | RESTAURANT FORECAST | photo_Kayoko Aoki text_Keiko Kodera
東京屈指の老舗焼鳥店に “表鶏” するでしょう。
“継承の心” を大切にする日本には、老舗が数あるが、東京きっての焼鳥店の老舗といえば〈伊勢廣京橋本店〉だろう。
大正10年に日本橋・蠣殻町の鶏肉専門店から独立。この10月、建物の老朽化にともない道をはさんだ向かいに移転をしたが、新店舗でも鶏肉店の隅に設けたカウンター4席からスタートしたときと変わらずに焼鳥をコースで出すというスタイルを貫いている。
ささみに始まり手羽先で締めるという構成は「できるだけお客さんを待たせないように火が入りやすい部位から提供する」という先々代の心遣いから生まれたもの。つなぎを一切使わない団子やスライスした鶏に野菜を巻く葱巻、大ぶりで濃厚な味わいのレバーなど名物串は多数。姥目樫備長炭の特性を生かし、きっちりと火を入れながら瑞々しくジューシーに仕上げる焼き技に加え、70年継ぎ足しで使っているタレやフレーク状の結晶塩もその豊かな旨みを引き立てている。
老舗の暖簾のもとに鶏承、もとい継承され続ける味を、ゆっくり堪能したい。
大正10年に日本橋・蠣殻町の鶏肉専門店から独立。この10月、建物の老朽化にともない道をはさんだ向かいに移転をしたが、新店舗でも鶏肉店の隅に設けたカウンター4席からスタートしたときと変わらずに焼鳥をコースで出すというスタイルを貫いている。
ささみに始まり手羽先で締めるという構成は「できるだけお客さんを待たせないように火が入りやすい部位から提供する」という先々代の心遣いから生まれたもの。つなぎを一切使わない団子やスライスした鶏に野菜を巻く葱巻、大ぶりで濃厚な味わいのレバーなど名物串は多数。姥目樫備長炭の特性を生かし、きっちりと火を入れながら瑞々しくジューシーに仕上げる焼き技に加え、70年継ぎ足しで使っているタレやフレーク状の結晶塩もその豊かな旨みを引き立てている。
老舗の暖簾のもとに鶏承、もとい継承され続ける味を、ゆっくり堪能したい。
〈伊勢廣京橋本店〉
東京都中央区京橋1-4-9 TEL 03 3281 5864。11時30分〜14時、16時30分〜21時(土〜20時30分)。日曜・祝日休。80席。
小寺慶子
こでらけいこ こでらけいこ 肉を糧に生きる肉食系ライターとして雑誌やWebに執筆。最近の趣味はひとり焼肉をしながら食べ物回文を考えること。「煮イカを買いに」(駄作)。