ART
自画像手法で知られる美術家・森村泰昌が問いかける「私」とは何か。
January 28, 2020 | Art | casabrutus.com | text_Aya Hasegawa
〈原美術館〉にて、1⽉25⽇から『森村泰昌:エゴオブスクラ東京 2020―さまよえるニッポンの私』展がはじまっている。
1951年生まれの森村泰昌は、名画や映画の登場⼈物や歴史上の⼈物に扮した自身を写真撮影するセルフポートレイト作品で知られるアーティストだ。1985年にゴッホの⾃画像に扮するセルフポートレイト写真《肖像(ゴッホ)》で鮮烈のデビューを果たして以来、巧みなメイクや⾐装で、時代や⼈種、性別を超えてさまざまな⼈物に成り代わり、原作やその背景に独⾃の解釈を加えてきた。さらに、⾃らが脚本を⼿がけ⾃演する映像作品やライブパフォーマンスへと表現の領域を広げている。
〈原美術館〉ではこれまでに17世紀オランダの偉大な画家をテーマに、その人生の明暗から「自我」を深く探った『森村泰昌 レンブラントの部屋』展(1994年)、20世紀メキシコ現代絵画を代表する画家のひとりフリーダ・カーロの人生、その愛と死を独自の祝祭的イメージで描いた『私の中のフリーダ 森村泰昌のセルフポートレイト』展(2001年)を開催。1994年には、館内のトイレを作品化したユニークな常設インスタレーション《輪舞(ロンド)》が完成。時折装いを新たにしながら、現在も美術館の顔として展示されている。
今回の『森村泰昌:エゴオブスクラ東京 2020―さまよえるニッポンの私』は、2018年にニューヨークの〈ジャパンソサエティ〉で行われた展覧会『Yasumasa Morimura: Ego Obscura』の凱旋展と位置づけられる。
〈原美術館〉ではこれまでに17世紀オランダの偉大な画家をテーマに、その人生の明暗から「自我」を深く探った『森村泰昌 レンブラントの部屋』展(1994年)、20世紀メキシコ現代絵画を代表する画家のひとりフリーダ・カーロの人生、その愛と死を独自の祝祭的イメージで描いた『私の中のフリーダ 森村泰昌のセルフポートレイト』展(2001年)を開催。1994年には、館内のトイレを作品化したユニークな常設インスタレーション《輪舞(ロンド)》が完成。時折装いを新たにしながら、現在も美術館の顔として展示されている。
今回の『森村泰昌:エゴオブスクラ東京 2020―さまよえるニッポンの私』は、2018年にニューヨークの〈ジャパンソサエティ〉で行われた展覧会『Yasumasa Morimura: Ego Obscura』の凱旋展と位置づけられる。
同展では、今回のために再編集された映像作品《エゴオブスクラ》と、この映像を⽤いて会期中開催される⾃⾝によるレクチャーパフォーマンスを通じて、森村は日本近現代史・文化史に言及する。《エゴオブスクラ》には、昭和天皇やダグラス・マッカーサー、マリリン・モンローや三島由紀夫らに扮した森村が登場。⾃らの⾔葉で製作の背景や作品に込められた思いを語る。
また、近代絵画史に転換をもたらしエドゥアール・マネ《オランピア》から生まれた初期代表作《肖像(双子)》(1988年)と、新作《モデルヌ・オランピア》が競演。また、同展では同じくマネ晩年の秀作を原作とする《フォリーベルジェールのバー》の最新作も登場する。この3点の登場人物が複雑にからまる展示は見逃せない。
『森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020−さまよえるニッポンの私』
〈原美術館〉
東京都品川区北品川4-7-25 TEL 03 3445 0651。1⽉25⽇~4⽉12⽇。11時~17時(水曜は20時まで。最終入館は閉館の30分前まで)。月曜(2月24日は開館)、2月25日休。1,100円。