予約が取れない日本料理店〈くろぎ〉がお引越し。

予約の難易度が高いことで知られる〈くろぎ〉。夜はなんと1年間、すべての席が埋まっている。だが、移転先の芝大門の店舗では、昼ならば若干の有余があるという。

店主、黒木純。営業がある日は必ず、板場に立って包丁を握る。

増上寺の大門を抜け、角を曲がってすぐ。看板はどこにも出ていない。だが、目指してやってくるひとにはすぐわかるだろう。真っ黒な板壁に格子戸、犬矢来。日本の町家のアイコンを用いた店構えが「ここは特別な場所だぞ」と語っている。「日本一予約が取りづらい」といわれていたカウンター割烹の店〈くろぎ〉が開店10年目の節目の年に、湯島の一軒家から芝大門のビルに移転した。

2階カウンターは10席。奥に黒木の師、〈京味〉主人、西健一郎の書が掛かる。カウンターの上は網代天井。

ビルといえども店内は、エントランスから通路、店内、階段に至るまで数寄屋の意匠が凝らされている。凛とした店構えから伝わる店主、黒木純の思いに、こちらも背筋がシャキッと伸び、同時に期待で胸が膨らむ。前店の50倍に広さを拡大したという厨房から、いったいどんな料理が生み出されるのだろう。

「八寸」(写真は2人前)。からすみ、合鴨の塩漬け、スズキの南蛮漬などお酒が進む珍味の盛り合わせ。

昼夜、おまかせコースのみ。湯島時代の昼の名物「鯛茶漬け」はパワーアップした形でGINZA SIX〈くろぎ茶々〉だけでの提供となり、本店では黒木が言うところの「東京割烹」をさらに突き詰めていくことになった。